研究課題/領域番号 |
16K02306
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
飯岡 詩朗 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (90345728)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 映画 / テレビ / ニューメディア / 間メディア性 / アメリカ / 1950年代 / 演劇 / アルフレッド・ヒッチコック |
研究実績の概要 |
本年度は、まず日本国内において、1950年代に刊行されたフランスの映画批評誌 Cahier du Cinema における、ヒッチコックを中心とするアメリカの映画作家をめぐる作家主義の議論を整理・分析するとともに、同時代のアメリカ映画のレヴューや、アメリカ映画の最新の動向としての映画とテレビとの関係や、製作者たちのテレビから映画への越境をリポートする記事の収集・整理を行った。 海外においては、ロサンゼルスの Margaret Herrick 図書館において、Alfred Hitchcock Collection を中心に、1950年代のアメリカ映画の製作段階における劇作家やテレビ製作者の関与や、宣伝・配給段階における演劇やテレビとの差別化に着目しながら、製作関係者間の書簡をはじめとする一次文書や、宣伝・配給者に製作会社から提供されたプレスシート等の調査・収集をおこなった。また、同じくロサンゼルスの UCLA Film and Television Archive において、1940年代末から1950年中頃にかけて放送されたテレビドラマを鑑賞・調査した。対象としたのは、Robert Montgomery Presents、Kraft Television Theater、Lux Video Theater といった演劇や映画との関係を売りとする番組で、特に後に映画化されるエピソードや、ヒット映画の短縮アダプテーションのエピソードに注目した。さらに、ニューヨークでは、New York Public Library for Performing Arts において、1950年代に、Robert Montgomery Presents 等のテレビドラマにも出演していた女優のコレクション(Florence Anglin Papers)を中心に、映像化されたエピソードとそのエピソードの脚本間の異同や、同時代の新聞におけるテレビドラマのレヴューの調査・収集をおこなった。 以上の調査研究の成果の一部は平成30年度前期に日本映像学会において口頭発表が決定しており、さらに同年度内に論文で公表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内・海外ともに、訪問調査の時期が年度末となってしまったため、収集した資料の整理・分析等は、年度内に完遂することはかなわなかったが、資料の収集については順調に進展しているため、計画の軽微な変更はあるものの、概ね大きな遅延なく進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず、本年度末に収集した資料の整理・分析を進めるとともに、平成30年度は最終年度となるため、全体のまとめに向けて、欠落している資料の収集・整理・分析を進めていく。 また、研究の成果は、口頭発表や論文等をとおして順次公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の2つの理由により、次年度使用額が生じることとなった。 1)購入予定だった資料が本年度内に納品不可能であったため、購入を次年度以降に先送りにした。2)海外での調査が年度末となったため、資料整理等にかかわるアルバイトを使用することができなかった。 未使用額の使用計画は以下のとおりである。平成30年度請求額とあわせて、1)本年度に予定していたが先送りとなった資料の購入、2)本年度に予定していた資料整理に関わるアルバイトの使用。
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