本年度は、海外において、1950年代アメリカにおけるニューメディアとしてのテレビをめぐる言説に加え、芸術(アート)としてのテレビをめぐる言説について、ニューヨークの Museum of Modern Art のアーカイヴにおいて、同美術館が1950年代に実施したテレビに関する研究プロジェクトに関する一次資料の調査を行うとともに、New York Public Library において、1950年代の定期刊行物におけるテレビに関する記事に関する調査を行った。 以上の調査により、1950年代中盤から後半にかけて、ニューメディアとしてのみならず、映画や演劇に対抗しうる新しい芸術表現としてテレビを位置づけ、それと同時にみずからの職業的地位を高めようとするテレビ製作者およびテレビ批評家の側からのテレビをめぐる言説と、政府機関および大衆の側からの同時代のテレビの低俗さを批判する言説、美術館の側からの初期のテレビ番組を美術館であつかいうる芸術作品として評価する言説の交差がみられることが明らかになった。 また、本年度が最終年度にあたるため、これまでに収集した資料の整理・分析、口頭発表および論文発表に向けた準備をすすめた。 以上、2018年度の調査・研究の成果の一部は2019年6月に日本映像学会大会において口頭発表が決定しており、同発表をもとに同年度内に論文発表の予定である。 なお、2018年5月に予定していた日本映像学会大会における口頭発表は、交通機関の遅延により実施がかなわなかった。
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