研究課題/領域番号 |
16K02307
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
長谷川 慎 静岡大学, 教育学部, 准教授 (00466971)
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研究分担者 |
久保田 敏子 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 名誉教授 (10090200)
野川 美穂子 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (50218294)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 柳川三味線 / 古態の楽器 / 水張り / 地歌 / 三味線 |
研究実績の概要 |
研究最終年度となる本年は、主に収集した文献、音源、楽器について精査を行なった。文献として特筆すべきは、柳川三味線演奏家の梅辻理恵氏が東京藝術大学における修士研究として平成2年にまとめた修士論文『地歌「柳川流」の三味線のついて-京都における柳川流の現状を中心として-』を入手できたことである。この論文は当時の伝承者、楽器店への聞き取りから平成2年時点での京都における柳川三味線の現状が詳説されているほか、写真資料も豊富にまとめられており、現在柳川三味線に関するまとまった唯一の著作物である『京都の響き 柳川三味線』(津田道子著、(社)京都當道会、平成10年)を補完する資料となりうるもので、今後の柳川三味線に関する研究に大きな示唆となり得るもので、今年度はこの2点の文献の精査を行なった。 次に、研究期間中に法量調査を行なった楽器と研究分担者が過去に行なった江戸期の古楽器の三味線調査から、今日「柳川三味線」と呼ばれている古態の楽器は江戸期に極細の三味線に極めて近い作りがされていることがわかった。駒についても今日使われているものと似ている他、幕末期に鶴岡検校によって改良される以前の撥は古楽器に付属して伝わっている撥および江戸期の絵画資料に描かれた撥に酷似していることがわかった。 研究のまとめとして東京藝術大学第1ホールで開催した「第2回古態の楽器による地歌鑑賞会」では、研究成果を報告するとともに研究協力者による柳川三味線の演奏披露を通して、柳川三味線の現代の受容の可能性について来場者へのアンケートを行い、今後の研究のための発展的な示唆を得ることができた。
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