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2019 年度 実績報告書

英彦山修験道石造美術における廃仏毀釈の影響-豪潮律師作宝篋印塔を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 16K02314
研究機関九州大学

研究代表者

知足 美加子  九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40284583)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード英彦山修験道 / 修験道美術 / 宝篋印塔 / 文化財復原 / 彫刻 / AR(拡張現実) / 廃仏毀釈 / 仏教
研究実績の概要

英彦山修験道は、明治維新の神仏分離令 と廃仏毀釈、修験道禁止令 の影響を強く受け、口伝伝承を旨とする伝統文化はほぼ途絶えている。そこで、廃仏毀釈時の文化財破壊行為と、それを回避するために加えられた造形的改変部分の分析を通して廃仏毀釈以前の修験道文化の輪郭を探り、その知見を周知することに努めた。
豪潮寛海(1749-1835)が文化14年(1817)に制作した《宝篋印塔》について3Dデータ計測等を用いて分析を行った。この石塔は廃仏毀釈の破壊を免れるため、塔身の金剛界五仏種子を削り、火袋として「四角、円、三角、半月」を造形し燈籠に改変し守られた。英彦山修験者は、この塔を単なる燈籠ではなく「五大思想を暗示させる仏教遺物」とするための造形的工夫を施したと推測される。五大として、正面から左回りに地(四角)、水(円) 、火(三角) 、風(半月)、空(団:中心の宝珠)と配置し、この塔が仏教に帰依すること示す表現を、造形の中に巧みに取り入れていたことが分かった。廃仏毀釈による改刻以前の状態の想定図と模型を制作し、廃仏毀釈以前の宝篋印塔の姿を復原したARアプリケーション《hikosanAR》を開発した。英彦山神宮と自治体を通して、広く周知するところである。
本研究の一環として復原された《三所権現御正体》《不動明王立像》については、英彦山神宮 奉幣殿再建400年護摩焚きの際に公開され、現在、御神体として祀られている。この復原像は、無形伝統文化としての峰入り(廃仏毀釈後中断)の復活等に寄与している。また、本研究によって明らかにされた英彦山修験者の「水と木に対する信仰」を、彫刻作品《朝倉龍》、《花開童子と福太郎童子(吉木のヤマザクラ)》(2019)を制作した。これらは、九州北部豪雨災害(2017)災害被災木を再活用し、英彦山地域の復興支援に役立てるため、被災地でパブリックコレクションされた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 《花開童子と福太郎童子(吉木のヤマザクラ)》2019

    • 著者名/発表者名
      知足美加子
    • 学会等名
      国展
  • [備考] hikosanAR

    • URL

      http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~tomotari/hikosanAR.pdf

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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