研究実績の概要 |
本研究では、占領期から1950年代に製作された「日米合作映画」の分析を通して、当時の日本とアメリカがいかなる相互関係にあったのか、特にアメリカ統治下の沖縄と日系人の問題と、占領期における女性表象に着目することによって、冷戦下のアメリカ政府が想定した東アジアにおける日本の役割を多角的に分析することである。さらに、「日米合作映画」の中に表れた日本人の映画スターの海外進出に注目し、日米それぞれの反応を探ることで、占領期~1950年代の米国政府が主導する冷戦下のハリウッド映画における効用及び日本のコンテンツ産業の源流を明らかにした。 2020度からの新型コロナウィルスの流行により、ワシントンD.Cの議会図書館・公文書館、Alfred M. Gray Research Center - The Marine Corps University、United States Marine Corps History Division、メリーランド大学(プランゲ文庫)、ロサンゼルスのMargaret Herrick Library, UCLA図書館などでの現地調査が不可能であったが、今年度は、Margaret Herrick Libraryにおいて現地調査が実現した。具体的には、シャーリー・ヤマグチこと山口淑子が初めてハリウッドで主演した『東は東』(1952年、キング・ヴィダー監督)と、東宝との合作映画であり、主演のフランク・シナトラが初めて監督を務めた『勇者のみ』(1965年)の資料調査である。The Motion Picture Association of America (MPAA)との交渉文書、当時の映画雑誌、新聞などの批評、プレス資料などを閲覧し、『勇者のみ』に関してはハワイロケ地の特定を進めた。
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