研究課題/領域番号 |
16K02336
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
三浦 裕子 武蔵野大学, 文学部, 教授 (30646287)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 能楽 / 囃子 / 能 / 狂言 / 中世芸能 / 伝授 / 免状 / 太鼓 |
研究実績の概要 |
平成28年度までの初代梅若実資料研究会の構成員は、代表研究者=三浦裕子、連携研究者=土谷桃子、研究協力者=加賀谷真子・氣多恵子・小林責・中司由起子・深澤希望・別府真理子の全8名であったが、平成29年度より能楽研究家の高橋葉子を迎え、全9名の体制で研究に臨むことにした。同研究会による研究集会を6月16日、9月29日、12月27日の3日間、武蔵野大学能楽資料センター(東京)で催し、能楽囃子太鼓観世家蔵『入門者摘録』(全2冊)デジタル版による解読と翻刻を進め、諸問題について検討を重ね、報告書作成のための準備作業を行った。 7月8日に催された楽劇学会第25回大会(於、梅若能楽学院、東京)にて、三浦裕子が「能楽囃子太鼓方・観世元信家蔵『入門者摘録』(全二冊)研究序説―十四世家元・観世元規による伝授を中心に」というタイトルで、『入門者摘録』『免状之覚』ほかおもに太鼓観世家蔵の資料を用いて、1『入門者摘録』の概要の紹介、2『入門者摘録』における「入門」の意味、3能楽囃子太鼓方十四世観世元規による伝授の諸相、を軸とする研究発表を行った。 太鼓観世家が8月13日・14日に催した虫干しにおいて、観世元伯氏(能楽囃子観世流太鼓方。日本能楽会会員)の指導を受けつつ、同家蔵の文書類の総合的調査を行い、そのデーターベース化に向けての基礎作業を行った。また、資料保存の目的に基づき封筒を中性紙のものに差し替えるなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
能楽囃子太鼓観世家の協力を得、『伝授免状扣』(全2冊)『免状之覚』(全2冊)のデジタル化が完了し、初代梅若実資料研究会がそれをもとに研究を行った。研究会による研究集会を3日間催し、太鼓観世家の虫干しに2日参加するなど、当初の予定通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
能楽囃子太鼓観世家が所蔵する資料の総合的調査を、同家が夏季に催す虫干し時に行い、資料のデーターベース化のための準備をさらに進め、資料保存の方法などの検討も行う。 初代梅若実資料研究会による研究集会を5回程度(虫干し時の調査も含めて)開催し、以下の目的で『入門者摘録』(全2冊)の解読と翻刻を進める。Ⅰ19世紀初頭から20世紀半ばまで太鼓観世家に入門した素人弟子の調査。Ⅱ19世紀初頭から20世紀半ばまで太鼓観世家に入門した玄人弟子の調査。Ⅲ太鼓観世家が所蔵する起請文など伝授関係の資料と『入門者摘録』の関係性の解明。Ⅳ太鼓観世家が所蔵する近代以降の資料の総合的調査とデーターベース化のための準備。Ⅴ伝授をめぐるシテ方観世流梅若家と太鼓観世家との比較。Ⅵ『入門者摘録』翻刻・解説を軸とする報告書の作成。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)物品費・旅費・その他の支出の圧縮につとめた。 (使用計画)参考文献の購入、調査のための旅費、報告書の作成を予定している。
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