研究課題/領域番号 |
16K02344
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研究機関 | 昭和音楽大学 |
研究代表者 |
石田 麻子 昭和音楽大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50367398)
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研究分担者 |
閔 鎭京 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80431386)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オペラ受容 / 劇場 / オペラ団 / 韓国 |
研究実績の概要 |
本研究は、アジアにおけるオペラの受容経緯を追い、その受容構造と創造活動に関して明らかにしようとするものである。初年度となった平成28年度は、自国でのオペラ上演開始が日本から遅れること約40年、第二次世界大戦後すぐに始まった韓国におけるオペラ上演の経緯を明らかにした。韓国国立オペラ団等のオペラ団体による上演、芸術の殿堂をはじめとするオペラ劇場による上演の歴史は、我が国のオペラ上演とは類似点もあるものの、異なる点も多い。特に劇場は、民設公営の劇場もある一方で、各地に建設された文芸会館(日本における文化会館)等も多く、そこでのオペラ上演をはじめとする創造活動は日本との類似点もある。これらのことから、同国での上演活動研究は、比較対象として適切であることが重ねて確認できた。また、同国では芸術系大学におけるオペラ教育が進み、世界で活躍する歌手や作曲家、オーケストラ奏者等の演奏家を多く輩出している。それらの人材が実際に優れた創作活動を行えるように機会提供をする試みが始まっている。その一つがソウル市オペラ団による「世宗カメラータ」の活動である。この活動については、芸術系大学を卒業して、留学もしたうえで、オペラ創造活動に携わろうという若手人材を育成する機会であり、我が国におけるオペラ創造にも大いに参考となるものであり、特に調査研究を行った。こうした韓国のオペラ創造活動は、我が国に先んじて参照すべきものであり、本研究成果を広く公開することが、今後の我が国のオペラ創造活動にも参考にできると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は韓国と中国が軸となる予定である。研究分担者の協力もあって、初年度に韓国におけるオペラ受容に関して劇場とオペラ団の活動を軸に明らかにできたことは大いに研究推進に役立った。今後は中国、さらに中東諸国の状況に関しても、調査研究を進めていきたいと考えている。アジアにおけるオペラ受容は日本におけるオペラの創造活動にも様々参照できるものとなろう。各国の政治、経済、社会背景の把握に基づいて、オペラ公演に及ぼした影響を把握することも主たる研究手法となり、それらの文献の読み込みも引き続き行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる本年度は中国におけるオペラ受容、オペラ人材教育等の状況を明らかにすること、さらには中国における劇場運営の在り方などを研究推進していきたい。さらに、中東で建設され開場、欧州から多くの歌劇場を招聘してオペラ上演を行っている状況を把握していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、韓国での調査を中心に実施したが、旅費等は最も安価な方法での渡航等としたため、当初計画よりも費用が抑えられた。物品費等もできるだけ抑えたため、次年度に回すことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は韓国に加えて、中国等、調査範囲を広げる予定であるため、ヒアリングや公演調査に必要な旅費等を中心として使用する計画である。当初よりも、中国等への渡航計画に注力する予定である。
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