オペラ制作・上演活動は世界に広がっている。とりわけ現在、劇場建設が盛んにおこなわれている中国や一定のオペラ制作の歴史を持つ韓国等を中心とする東アジア、さらに大規模なオペラ劇場建設の実施や計画のある中東諸国の状況に着眼して、今日のアジアにおけるオペラの受容構造と創造活動を明らかにする研究を進めた。東アジアでのオペラ上演を注視するヨーロッパを中心とした欧米等のオペラ劇場と東アジアとの関係、歌手を中心にアジア出身のアーティスト達が欧米等の各地で活動している状況は、今日的で重要な動きであり、特に注目した。 研究活動を進める中で、海外の大学等からの招聘を受け、研究成果を広く共有した。まず、ストラスブール大学とフランス国立ラン歌劇場との共同シンポジウム≪Corps et message; De la structure de la traduction et de l'adaptation≫で'Tendances et receptions actuelles de la representation de l'opera au Japon'と題した講演を行い、日本を中心とするアジアのオペラの受容構造をまとめた。さらに、上海音楽学院で行われたフォーラム‘The 2nd International Arts Administration Shanghai Forum~Opera and China’に招待を受け、「超越日本的歌劇 Opera beyond Japan」と題した講演をした。ミラノ・スカラ座およびパリ・オペラ座のインテンダントと並んでの講演となったこともあって、日本経済新聞(全国版)文化欄でも写真入りで紹介され大きな反響があった。こうした海外での成果発信の機会を得たことに加えて、研究紀要での論文発表、報告会の実施等により、国内でも研究成果を広く共有する機会を設けた。
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