研究課題/領域番号 |
16K02348
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
北野 圭介 立命館大学, 映像学部, 教授 (60303096)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 情報 / メディア / 新しい唯物論 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は、主に、三つの方向性においてすすめられた。 第一に、イメージの物質性に関する国内外における文献資料を整理し検討した。理論的なものが中心であり、新しい唯物論、思弁的実在論、新実在論、オブジェクト指向存在論などの哲学的思潮、及びW・J・ミッチュエルらのすすめる新しいメディア研究、また資格文化研究などに関わるものであった。 第二に、イメージの物質性という観点から、日本映像史の再読の試み、とりわけ日本における映像史を、物質性の観点から読み直すための理論的枠組みの精査をおこなった。 上記第一に関わる研究成果として、英米分析哲学系で「情報哲学」を推進するルチアーノ・フロリディの情報理論について検討し、それを情報概念と物質性の関係を問うという観点から整理する論文「データ、情報、人間」を発表した。また、第一の及び第二の双方に関わる研究成果として、国内外の研究者とこれまで行った対談や座談会を、イメージと物質性の観点からまとめ、また、この問題に関わる自身の研究活動の系譜をマッピングするイントロダクションを付し、単行本として刊行した。第四に、西洋における中世哲学における存在論の諸思想と、現代哲学の物質性を論じる諸理論とどのように関係しているのかについて、山内志朗の仕事を参照しながら考察する論考も発表した。第五に、物質性の観点から、舞台芸術や視覚芸術の領域での国内外の作家(三輪真弘、クリスチャン・ボルタンスキー)の作品について批評の試みをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本務校での役職(学部長)に関わる業務のため、十分な研究時間を確保できなかったため。とりわけ、海外での関連機関における調査を計画通りにすすめることができなかった。 上記を踏まえ、第一に海外での関連機関における調査をすすめること、第二に、本プロジェクト全体に関わる論考をまとめ発表することをすすめたいが、 予算執行の具体面では、前者については、アジアにおける視覚文化と物質性の関係についての実地調査、また、海外の研究者による研究レビュ-をおこなう出張を、また、後者については、現代アートにおける物質性に関わる諸理論を整理する論考(論文はまた著書)を刊行するための準備作業、に執行をすすめることを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度については、計画されていた通りに海外での関連機関における調査をすすめること、また、本プロジェクト全体に関わる論考をまとめ発表することを、おこないたい。 具体的には、前者については、アジアにおける視覚文化と物質性の関係についての実地調査を行いたい。 また、最終年度であることを踏まえ、海外の研究者による研究レビュ-をおこなう出張を、また、後者については、現代アートにおける物質性に関わる諸理論を整理する論考(論文はまた著書)を刊行することを、予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務校での役職(学部長)に関わる業務のため、十分な研究時間を確保できなかったため。とりわけ、海外での関連機関における調査を計画通りにすすめることができなかった。
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