最終年度は、以下の観点からプロジェクトの全体をまとめ、著作として刊行するまとめ作業をすすめた。 現代メディア研究(イメージ人類学/メディア考古学/ニュー・ メディア研究)などの理論的言説について文献資料、また、哲学や思想などの新しい動向(新しい唯物論や思弁的実在論を含む)に関する文献資料に加えて、映像を用いた芸術作品における実践的動向を探る調査を、欧州(フランス、イタリア、ドイツ、またイギリスを含む)、北米(アメリカ合衆国)、アジア(シンガポール、台湾、タイ、香港など)の美術館、アートセンターでおこなった記録を付き合わせ、映像と物質性の観点から、現代芸術をめぐる理論化の変容をマッピングする作業をおこなった。 また、その作業においては、理論的考察の組み立ての観点からは、欧州、北米、アジアにおいて、理論的言説や実践的思考において差異が認められるか、差異があるとすればそれはいかなるようなものかを精査し、映像とその物質性をめぐる観点から整理することも視野に収め考察することとした。 このマッピングについては、現在すでに書いた論文等を整理する作業をすすめるとともに、全体を俯瞰するサーベイ論文を作成中であり、2020年度中に著作として発表予定である。 また、映像に関する理論化作業、とりわけ映像の物質性に関する理論化作業については、デジタル技術への着目が多いことから、情報理論、特に情報をめぐる哲学的考察の動向についても調査をおこなった。これについては、「思想」(岩波書店、2019年12月)に発表した。
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