研究課題/領域番号 |
16K02360
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
石井 正己 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30251565)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 植民地 / 帝国主義 / 紀行文 / 従軍看護婦 / 尾崎秀樹 / 大嶽康子 / 文化財保護 / 日本語教育 |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、海外の調査をはじめとする研究計画の変更を余儀なくされたが、この間に実施することができたのは、主に次の3点であった。 ①2020年2月に西東京市柳沢公民館で行った講演「尾崎秀樹の業績」の記録を作成するにあたって、尾崎秀樹『歳月 尾崎秀樹の世界』(1999年)を使って、台湾時代の生活を押さえた上で、兄の尾崎秀実のゾルゲ事件を受け止め、帰国後の結核療養を経て、大衆文学研究ならびに植民地文学研究の領域を新たに開拓したことをまとめた。 ②日本が占領したシンンガポール・昭南島に焦点をあて、田中館秀三『南方文化施設の接収』(1944年)、神保光太郎『昭南日本学園』(1943年)、徳川義親『じゃがたら紀行』(1980年、初版は1931年)、E・J・H・コーナー『思い出の昭南博物館』(1982年)、西原大輔『日本人のシンガポール体験』(2017年)によって、文化財保護・日本語教育・芸術的活動の実態を明らかにした。 ③女性の見た戦争については、従軍記者の紀行を分析してきたが、大嶽康子『病院船』(1939年)、大嶽康子『野戦病院』(1941年)、岩井節子『母の従軍』(1940年)、杉山りつ子『従軍看護婦長の手記』(1941年)を使って、従軍看護婦が書いた日記・紀行を分析した。それによって、戦場の男性/銃後の女性という既成観念を相対化することができた。 これらの成果は最終報告書にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初から新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、予定していた海外の調査や発表は見送らざるをえなくなったので、1年の延長を申請して、それが認められた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、今後も継続しそうな状況なので、海外における発表や講演はオンラインによることにし、そうした機会を利用しつつ最終報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって研究の完結が困難になり、申請したところ、1年の延長が認められたので、最終報告書の作成のために使用する。
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