研究課題/領域番号 |
16K02367
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
妹尾 好信 広島大学, 文学研究科, 教授 (10171357)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 和漢古典籍目録 / 書誌情報 / 吉川家寄贈図書 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、岩国徴古館が所蔵する吉川家寄贈図書のうち、和刻本漢籍・準漢籍を中心とした写本・版本の調査を優先的に行った。国書を中心に行った前回の科学研究費補助金研究で未調査のままになっていた書籍群である。平成28年5月から29年3月まで、ほぼ毎月、12回にわたって調査を行い、対象となる書籍の調査を完了した。これで、前回の科学研究費補助金研究での成果とあわせて、『吉川家寄贈図書類目録』掲載書目の調査はすべて終了した。調査で得られた書誌情報は、岩国徴古館のウェブサイト上に開設されている「収蔵資料検索システム」に反映され、すでに一般の利用者に公開されている。これによって、従来のデータに比べて飛躍的に詳細な書誌情報が提供できたことは、本研究の大きな成果である。調査には、毎回研究補助者として大学院生1名を伴い、旅費と謝金を支出した。結果的に、平成28年度の研究費は、研究代表者と補助者の調査にかかる旅費と、研究補助謝金が支出のすべてであった。 なお、平成28年度から、岩国市立学校教育資料館の蔵書調査も始めた。岩国市教育委員会から収蔵資料のデータ(エクセルファイル)提供を受け、それに上書き修正する形で書誌データの入力作業を行うことにした。3回の調査で、江戸時代後期の往来物から明治初期頃の学校教科書類の調査をほぼ完了した。 また、前回の科学研究費補助金研究以来継続して刊行している「岩国市中央図書館所蔵和装図書目録稿」も、その第6回目として「文学の部(後半)、補遺」を平成29年3月に刊行した(『内海文化研究紀要』第45号掲載)。これによって、岩国市中央図書館が所蔵するすべての和装図書の目録化が完了した。同目録掲載誌は紙媒体で頒布される他、広島大学図書館学術情報リポジトリにも電子情報として掲載されているため、広く閲覧が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度の研究実施計画では、岩国徴古館所蔵の『吉川家寄贈図書類目録』掲載書目の調査をほぼ終了できる見込みとした。それについては、平成29年3月の調査で予定通り終了し、年度末には調査で得られた書誌データを同館ウェブサイト上の「収蔵資料検索システム」に反映することができた。 それに加えて、岩国市立学校教育資料館の調査も3回行い、江戸時代後期から明治初期頃の往来物や学校教科書類の書誌データを作成した。当初、4年目以降に実施する予定であった同館所蔵資料の調査を大幅に前倒しして始めることになったため、予定外の成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今のところ、調査研究が極めて順調に進捗しているため、特に変更を要する課題はない。 2年目の平成29年度は、引き続き岩国徴古館所蔵資料の調査を中心に行う。『吉川家寄贈図書類目録』掲載書目の調査が平成28年度で終了したので、次は、『岩国徴古館資料目録』掲載書目の調査を行う。同目録掲載の和漢古典籍は約700点であるが、「収蔵資料検索システム」掲載のデータの提供を受けたところ、冊子目録刊行後に寄贈を受けたり購入したりした資料が相当数あって、それらを含めると約1000点にのぼることがわかった。700点ならほぼ1年間で調査が終了できそうであったが、1000点となると1年半はかかりそうである。 先行して始めた岩国市立学校教育資料館の調査も継続して行う予定なので、双方の調査をあわせて2年はかかることが予想されるが、当初の計画を大きく変更するような事態にはならないと考えられる。
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