研究課題/領域番号 |
16K02381
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金子 貴昭 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (20411150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 板木 / 版木 / デジタルアーカイブ / 東アジア / 近世出版 / 木版 |
研究実績の概要 |
1. 7次原州世界古版画文化祭国際学術大会(韓国、5月)、東亜古代彫版印刷与版片国際学術検討会(中国、10月)に参加した。前者では東アジア木版比較研究におけるデジタルアーカイブの効用と可能性について、後者では日本の近世期の板木現存状況に関する口頭発表をおこなった。また、両者を通じて各国の木版研究者との研究交流を進めた。 2. 韓国古版画博物館が所蔵する日本の板木の調査を実施した(3月)。当年度は板木73点を調査し、622カットのデジタル画像によるデジタルアーカイブ構築をおこなった。日本国内では、当年度は本山佛光寺(京都市)の板木デジタルアーカイブを進捗させ、板木344点について、6710カットのデジタルアーカイブ構築をおこなった(3月)。これらは次年度、画像処理作業を進めるとともに、代表者が構築するwebデータベース「板木閲覧システム」に登録し、基本情報の蓄積を進めることとなる。また、板木所蔵機関を対象に、今後のデジタルアーカイブ対象とすべく、プロモート活動をおこなった。 3. 当該予算によって、錦絵彫摺技法を受け継ぐ近代版画(能画)の板木収集をおこなった。これらは、次年度にデジタル化を実施するとともに、2と同様、webデータベースに登録することとなる。 4. 上記の活動を踏まえて、口頭発表2件、論文1件の成果発表をおこなった。口頭発表の内容は上記に記したとおりであり、論文1件の内容は、浮世絵研究における板木研究活用の課題に関する内容である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
緊急性のあった板木原物の収集に注力したため、予算的に調査日程が当初予定ほど確保できず、デジタルアーカイブ構築の進捗にやや遅れが見られた。またそれにより、特に国内の板木所蔵機関の調査が1機関に限られるなどしたため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は海外1機関、国内2~3機関のデジタルアーカイブ構築実施が行えるように調査日程を十分に確保したい。また、日本国内において研究交流イベントを実施し、東アジアの木版関連研究者のネットワークを強化すべく調整を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
27,864円の未使用額が発生しているが、大部分は会計システムの上で次年度使用となったものである。2017年3月に、物品費として24,825円、人件費として2,730円を使用しており、これらは実質的には次年度に使用するものではない。残る309円は、航空券の代金が見込みを下回り、その差額を他の費用に振り向けた結果として発生したものである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の残額309円は、次年度の板木デジタルアーカイブ費用に繰り入れて使用する予定である。
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