研究課題/領域番号 |
16K02381
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金子 貴昭 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (20411150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 板木 / 版木 / デジタルアーカイブ / 東アジア / 木版 |
研究実績の概要 |
本研究は、研究代表者がこれまで実施してきた日本国内の板木に対する研究の視野を、東アジアに拡大することにより、東アジア比較板木研究体制の構築を目指すものである。2017年度の実績は以下のとおりである。 1. 8次原州世界古版画文化祭国際学術大会(韓国、10月)、国際シンポジウム”Preservation of woodblocks in Asia: Sharing experiences”(ベトナム、11月)に参加した。前者では浮世絵を初めとする版画の板木とその研究活用のあり方について、後者では日本で行われている保存科学を活用した板木研究の実状について口頭発表をおこなった。また、両者を通じて各国の木版研究者との研究交流を進めた。また、この研究交流成果を基盤として、2018年2月に日本・中国・韓国・ベトナムの板木研究者が集う国際ワークショップを開催し(開催費用は別資金)、今後の研究交流を深めていく上での課題を把握した。 2. 2017年度に実施した板木デジタルアーカイブの画像処理を実施した。また、当年度は立命館大学アート・リサーチセンター所蔵板木150点、個人所蔵板木26点のデジタルアーカイブ構築をおこなった。これらを代表者が構築するwebデータベース「板木閲覧システム」に登録し、基本情報の蓄積を進めた。 3. 2に含まれる『奥細道菅菰抄』の板木について、板本・出版記録と合わせて分析し、刊行経緯を考究し、蕉門俳書全体に及ぶ板株の流れについて、特に大坂の板元の関与について考察をおこなった。 4. 上記の活動を踏まえて、口頭発表5件、web掲載の英文エッセイ1件の成果発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた板木調査およびデジタルアーカイブの進捗に遅れが発生している。これに伴い、2017年度は特に海外所蔵板木のデジタル化が実施できなかったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の推進方策に記した研究交流およびネットワーク強化は順調に進んでいる一方、デジタルアーカイブの進捗が遅れているため、その推進に注力する。2018年度は、海外1機関、国内2機関のデジタルアーカイブ構築実施が行えるように、調査日程を組んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度後半に実施する予定であったデジタルアーカイブ構築について進捗が滞ったため、その作業において発生するはずであったアルバイト謝金が執行しきれず、次年度使用額が発生した。この使用額は、2018年度の板木調査およびデジタルアーカイブ構築に活用する。
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備考 |
"The Printing Blocks of Woodblock-printed Books"は、ウェブサイト "The World of the Japanese Illustrated Book: The Gerhard Pulverer Collection" に掲載。
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