近年の中世宗教文化をめぐる研究は、未知のテキストの発掘や、それに基づく新たな研究によって飛躍的な進展を見ているといってよい。本研究は、こうした研究動向、および研究代表者自らが積み重ねてきた中世宗教文化史研究(儀礼論、身体論、文字論、書物論)に関わる成果をさらに総合的な見地から発展・深化させることをねらいとして、中世宗教芸文テキストの生成と機構、なかんずく中世社会に浸透した様々な儀礼の成り立ちと書物の生成・享受との深い関わりを総合的に解明したものである。前近代特有の書物の観念の解明は、現代文化における書物の行方をも指し示すことになるはずである。
|