『翰林五鳳集』(以下、『五鳳集』と略す)は大日本仏教全書本に翻刻されるが、国会図書館蔵 鶚軒文庫本が、現在は散佚してしまった清書本(原本)により近い形態を留めていると考えられるので、参着することが望ましい。例えば、『五鳳集』に収録される絶海中津の作品分布とその収集源に注目する場合、全書本『五鳳集』巻第48に見られる、彼の詩文集である『蕉堅藁』未収録の絶海詩3首は、鶚軒本を参照すると、詩の配列順序の違いから絶海の作品ではなく、基本的に『蕉堅藁』が主な収集源であることが確認される。なお、『五鳳集』巻第48に収録される各詩の作者及び収集源を調査すると、当該巻の分布には、偏りがあると言わざるを得ない。
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