研究課題/領域番号 |
16K02392
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
恋田 知子 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (50516995)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 物語草子 / 仮名法語 / 絵巻 / 奈良絵本 / 出版 / 比丘尼御所 |
研究実績の概要 |
昨年度に続き、中世後期から近世前期にかけての寺院圏と貴族圏との間における書物による交流の実態解明を目指し、貴族圏伝来の仮名法語、および寺院を経て生成・享受された物語草子、そして両者の相互連関の具体相について調査・分析を進めた。あわせて、お伽草子や仮名草子、仮名法語といったジャンルや時代による区分から、その影響関係について等閑視されてきた研究の現状を鑑み、具体的な作品の調査・分析を通して、物語草子と仮名法語の相関性について明示すべく、研究成果の公開に努めた。 まず、国文学研究資料館で開催された国際シンポジウム「仮名・ものがたり・随想―江戸の〈知〉の展開―」(2018年4月20日)で、「物語草子と仮名法語」のタイトルで当該研究の成果を発表した。中世・近世、文学・仏教などの時代やジャンルを超えたパネリストによるシンポジウムであったことから、さまざまな見地から多くの示教を得た。 さらに、天理図書館蔵『常盤の嫗』絵巻調査の機会を得られ、その結果、当該研究課題を遂行する上で重要な位置を占める作品であることが判明した。当該作品と仮名法語との関わりについての考察を進め、成果の一端を『新天理図書館善本叢書24 奈良絵本集 2』(2019年2月、八木書店)の解題にまとめるとともに、2019年3月15・16日にコロンビア大学で開催された国際シンポジウム“Borders, Performance, and Deities”(コロンビア大学・名古屋大学共催)で、The Aging Body in the Medieval Japanese Tale“Tokiwa as an Old Woman”と題した口頭発表をおこない、国内外の日本文学・思想史・日本史学・美術史学の研究者から貴重な示教を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公務が多忙を極めたことから、予定していた調査先との日程調整がつかず、変更を余儀なくされたものの、おおむね順調に進んだ。とくに天理図書館蔵の絵巻・奈良絵本の調査に携わったことで、新知見が得られ、研究課題遂行のための一助となった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の未使用額を有効に活用し、調査を進めるとともに関連資料の収集に努め、円滑かつ柔軟に対応していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表の国際シンポジウム開催が年度末であったこともあり、金額の確定がなかなかできなかったことや、公務多忙で調査予定の変更などもあったため。未使用額を有効的に活用すべく、調査を進めるとともに関連資料の収集や成果報告に努めたい。
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