研究課題/領域番号 |
16K02393
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 武蔵野大学 (2018-2022) 国文学研究資料館 (2016-2017) |
研究代表者 |
寺島 恒世 武蔵野大学, 日本文学研究所, 客員研究員 (80143080)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歌仙絵 / 書式 / 散らし書き / 色紙 / 番いの構造 / 時代不同歌合 |
研究成果の概要 |
歌仙絵において、従来研究に乏しい書の面から解明を進め、絵と歌との三者の融合芸術とされる歌仙絵の特性を捉え直した。 まず、入木道家資料に扱われる種々の書式を分類・整理し、それとの比較・検討を通して歌仙絵の多様な書式が成立する経緯を明らかにした。次に、三十六歌仙絵の歌につき、多系統に分化する実態を把握した上で「業兼本三十六歌仙絵」の選歌と編集を精査し、『時代不同歌合』を継承する意味と役割を再検討した。さらに歌仙絵史における『時代不同歌合』の先駆性を検証した。以上の絵・歌・書の検討結果を踏まえ、歌仙絵を多様な展開させる最も重い要因は、歌人と歌を対比して示す構造に認められることを導いた。
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自由記述の分野 |
人文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
主要課題とした歌仙絵の書につき、入木道の営みを取り上げ、書の専門の観点から、多彩な書き方の実態を把握し、その創意の由来を解明した。それをもとに、書式に見られる自然を踏まえた東洋的な構図と幾何学的な整序の構図は安易な対立関係にはなく、それらを総合する観点から問い直されるべきことを提言した。こうした日本文化の把握の見直しにも有益な書の面からの解明をもとに、絵と歌の再検討から得られた結果を踏まえ、歌仙絵の多様化に向かう要所を作品の番いの構造に見定めたことは、豊かに展開する歌仙絵作品の諸相を捉え直すために有効な知見をもたらすと判断される。
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