研究課題/領域番号 |
16K02402
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宇野田 尚哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50324893)
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研究分担者 |
竹内 栄美子 明治大学, 文学部, 専任教授 (00236415)
川口 隆行 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (30512579)
黒川 伊織 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (50611638)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 山代巴 / 原爆に生きて / この世界の片隅で / 牧瀬菊枝 / 内田千寿子 |
研究実績の概要 |
2017年度は,前年度に引き続き,(1)山代巴著作目録の整備と,初出の現物または複写の収集を進めるとともに,山代巴論の網羅的収集を進めた。特殊な機関紙誌類やミニコミ的メディアに掲載された著作も多く,収集が難航しているが,ほぼ目処が立った。また,(2)広島大学文書館等で調査収集した資料の分析を進め,『原爆に生きて』『この世界の片隅で』等の成立経緯を明らかにする作業を進めた。『原爆に生きて』成立の背景にある原爆被害者の会の活動の実態や,『この世界の片隅で』成立の背景にある広島研究の会の多様な活動や同書の編集のプロセスなどを1次資料に基づいて明らかにしつつある。この成果は2018年度に公表する予定である。また,(3)これまで調査を行ってきた資料群に加えて,山代巴の出身地である広島県府中市での資料調査を進め,資料の収集分析を行っている。府中市には,山代巴と関わりのあった人々の資料が当初の予想を超えて残されており,現在その収集分析を進めているところである。この(3)の点とも関わるが,山代巴の重要な特徴の一つは,多くの人々と活動をともにし,広く読み継がれ,読み継いだ人々による資料が残されている点である。そこで,(4)牧瀬菊枝・内田千寿子ら山代巴と活動をともにした人々や山代巴を読み継いだ人々の関係資料の発掘収集を進めるとともに,分析の準備を進めている。当初の想定を超えて進めつつあるこの作業は,山代巴のテキストがどのように読み継がれどのような社会的意味を持ったかを具体的に明らかにするうえで,重要な作業となるはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料の収集整理や聞き取り調査の実施に当初の予定より時間を要しており,当初の計画より進行がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は,年度当初に資料の収集整理や聞き取り調査を集中的に実施して遅れを取り戻し,研究成果のまとめと公開に注力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の1人が体調を崩し年度末の資料調査を予定通り行うことができなかったため,執行を予定していた旅費の一部が残額となった。2017年度末に行うことのできなかった調査は2018年度早々に行う予定である。
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