本研究は、領域横断的な移動研究mobility studiesの知見を通して近現代の日本文学を再考することを目的に、①植民地支配や占領・戦争、革命や社会体制の変化を越えて持続した文学活動に照準を合わせ、様々な地域の作品を調査収集し、掲載誌などのメディア情報を社会史研究と重ね合わせて分析し、②作家個人のみならず、発行者や編集者、出版社や文学結社などの調査を加えて、地域間の文化的接触や人的交流の諸相を多元的に明らかにし、③地域横断的な情報の共有を通して、国境や言語を越える《移動文学》研究の共通基盤の構築を図った。
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