研究課題/領域番号 |
16K02404
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
田中 康二 皇學館大学, 文学部, 教授 (90269647)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 本居宣長 / 草庵集玉箒 / おもひ草 / 冠辞考 / 吉田松陰 |
研究実績の概要 |
5年計画の4年目にあたる令和元年度は、研究期間終結に向けてまとめに入る時期であった。個別の単独論文としては、宣長の国学と宣長を取り巻く国学に整理できる。まず、前者としては、「本居宣長の『冠辞考』体験」(7月)、「本居宣長『草庵集玉箒』「歌の魂なし」再考」(10月)、「本居宣長『おもひ草』の研究」(3月)の三点がある。それらは宣長国学の中で、これまであまり言及されることの少なかった業績に注文したり、これまで論じられたことのない観点から論じたものである。次に、後者は「和文の文章論と和文集」(5月)、「尊皇攘夷論と大和魂―本居宣長から吉田松陰へ」(1月)の二点がある。それらは宣長国学の文学的側面と思想史的側面の双方から論じたものであり、近世中期から後期、さらには幕末期にかけての時期を背景として、宣長国学を俯瞰する視点で論じたものである。 また、シンポジウム的なものとして、「〈鼎談〉万葉集はいまどこにあるのか―研究の未来と未来の読者」(7月)がある。これは年号「令和」の典拠とされる『万葉集』について、万葉集プロパーの研究者との間で行われた座談会であり、万葉集千三百年の歴史の中で、国学が占める位置について突き詰めて発言することができた。 さらに、書評として「熊野純彦著『本居宣長』」(2月)がある。熊野氏は西洋倫理学プロパーの研究者であるが、そういった他ジャンル専攻の学者が本居宣長をどのように料理するかという点で、明らかにできたことも多く、今後の宣長論の可能性を指摘することができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に照らして、遜色ない研究業績を残すことができたと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は最終年度のため、当初の研究目的や研究方法との整合性を担保しつつ、研究全体としての濃淡がないようにまとめ上げる必要がある。そのために、宣長国学の同時代的意義を明らかにしながら、後世に受容されるメカニズムの解明にも注意して、研究を進めていきたい。
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