研究課題/領域番号 |
16K02409
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
亀井 森 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40509816)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国学 / 近世文学 / 資料保存 |
研究実績の概要 |
本研究は研究代表者が20年来行ってきた九州各地の国学に関する研究について、その各地域の特性や共通性を探り、各文庫の調査を通して学者間の交流を解明しようとするものである。また、それに平行して台湾大学図書館が所蔵する近世後期の国学者長沢伴雄の日記24冊を活字化して公刊し(全5巻)、広く研究者に提供し、当該研究に新展開をもたらすことを目的としている。 平成29年度は研究の2年目となり、本格的に各地へ調査へ伺った。特に、熊本地震によって進捗が遅れがちになっていた熊本・福岡県南部をまわり、30年度以降の調査の足がかりを作ることができた。 まず5月に甘木歴史資料館を訪れ、調査をおこなった。同館館長より大牟田市教育委員会を紹介いただき、9月21日に同委員会を訪れ、挨拶と今後の調査および情報提供について相談した。それと前後して、熊本県立玉名高校から調査依頼を受け、9月20日に同校を訪れ、第1回目の調査を行った。同22日は九州歴史資料館を訪れ、施設見学、および所蔵資料の閲覧を行った。 同10月には与論島を訪れ、教育委員会の案内で、島内に古典籍資料を所蔵する個人宅を訪問、調査および情報を収集した。また鹿児島市立図書館の調査の過程で整理していた西南戦争錦絵群40点ほどを翻字し、30年度に予定されている同館の明治維新150年イベントへ向けて準備を行った。 また昨年度の課題であった各図書館・博物館等の連絡方法について、その改善策として本年度は郵送による調査・問い合わせを採用し、九州内の公立図書館230館、神社61社、博物館57館、計348に連絡をして回答を得た。これによって、阿蘇神社からの要請を受け、30年4月以降に古典籍の調査を行うことが決まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は「近世後期九州の国学の統合的研究」を課題としており、その研究の多くが九州各地の諸文庫を訪れることを前提としている。しかしながら、平成28年4月に起こった熊本地震の本震および数ヶ月続いた余震によって1年目の計画が遅れていた。そこで、2年目である29年度は精力的に調査を行い、各地で継続調査の足がかりを作ることができた。 また郵送による各所蔵機関からの回答を精査して、実地調査の計画を順次立てており、30年度はより実地調査の回数が増えると予想している。
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今後の研究の推進方策 |
29年度に得られた各所蔵機関からの回答を基に調査計画を立て、精力的に九州各地をまわる予定である。すでに熊本県阿蘇神社とは連絡を密に取っており、30年4月には実地調査を行うことが決まっている。継続調査としては熊本県立玉名高校の蔵書整理を行う。それらの資料整理・郵送補助を行うアルバイトを雇用することで、研究および調査における効率化がはかれると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の調査日程が所蔵館と折り合わなかったため旅費としての計上が少なかったが、無理して強引な調査日程を組むよりも30年度の調査を充実させるために繰り越しを行った。これは29年度に実施した郵送による問い合わせの結果を鑑みて、30年度の調査旅費の計上が多くなることが予想されたため、このような措置をとった。 また物品として計上している近世文学関係図書を予定した額よりも購入しなかったことが要因として考えられる。近世文学関係図書については古書を購入することも多く、市場に出回らない場合もあるため、今年度も必要に応じて適宜購入を行っていきたいと考えている。
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