研究課題/領域番号 |
16K02419
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 教授 (80351758)
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研究分担者 |
奥田 浩司 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90185538)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 児童映画 / 唱歌 / 郷愁 / 受容 / 宮沢賢治 / 風の又三郎 / あまんきみこ |
研究実績の概要 |
図書館調査では、中国の重慶大学図書館、四川外国語大学図書館で、宮沢賢治の受容調査を行った。重慶大学図書館では、1940年代に刊行された宮沢賢治『風の又三郎』の復刻版の寄贈、四川外国語大学では、草野心平編「宮沢賢治研究」(1939年)の所蔵があり、同大学が中国における宮沢賢治受容を進めてきたことが確認された。国内では、国立国会図書館の関西館で、中国、韓国、台湾における日帝時代の現地人向けの新聞調査を行ったが、児童映画の広告の新見はなかった。そのため、1940年代に小学校教育を受けた人のインタビューを複数行った。 国内では、童話作家・あまんきみこへのインタビューが大きな収穫であった。童話作家・あまんきみこにとっては、1940年代に大連で宮沢賢治の書物を入手、映画『風の又三郎』も観覧し、当時の宮沢賢治受容が、あまんきみこの創作活動に大きく影響していることがわかった。海外では、中国、延辺で育ち、その後元延辺大学の教授をしていた男性、および大連で小学校教育を受けその後女優になった女性にインタビューをすることができた。台湾では、台南地区で小学校教育を受けた女性にインタビューをすることができた。3名とも、宮沢賢治についての記憶はなかったが、日本の唱歌を記憶していた。元女優だけは、小学校の校庭で映画を観覧した記憶があったが桃太郎ものであったという。3名とも、郷愁の中で、唱歌や、日本人の小学校の先生に対して、好意的な感情を抱いていた。 1940年代以外では、四川外国語大学の教授より、宮沢賢治受容に関する有益な情報のほか、中国で宮沢賢治研究を進めた人物の直筆の署名入りの書物など、貴重な史料の提供を受けることができた。 宮沢賢治の受容については、著作の増補版に上記の成果を掲載する準備中である。韓国語でのアニメーションの翻訳の打ち合わせを定期的に行い、こちらも翻訳の著作を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新聞等の資料は少なかったが、インタビューを中心に1940年代の児童文化の受容を行ったため。知人の研究者を通して、植民地時代に小学校教育を受けた現地の人にインタビューをする機会に恵まれたため。
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今後の研究の推進方策 |
韓国における図書館等の受容調査を中心に行う。著作として、成果を出してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査が増えたため。研究課題である1940年代に小学校教育を受けたインタビュー対象者は86歳以上の高齢である。先方の体調を第一優先にして、インタビューを実施しているため。
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