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2017 年度 実施状況報告書

近世後期俳諧と地域文化

研究課題

研究課題/領域番号 16K02435
研究機関清泉女子大学

研究代表者

大石 房子 (金田房子)  清泉女子大学, 付置研究所, 客員所員 (80746462)

研究分担者 玉城 司  清泉女学院大学, 人間学部, 客員教授 (20410441)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワード鳳朗 / 一茶 / 凉袋 / 素輪 / 地方俳諧
研究実績の概要

本研究は、江戸時代後期の北関東及び信州を中心とする地域の文化活動の様相を、広く影響力を持った職業俳諧師、鳳朗・綾足(凉袋)・一茶の指導・交流の様を、当該地域に残された詠草・日記等の資料と、図書館所蔵の俳書の調査によって解明してゆこうとするものである。この方針に従って本年度は次のような活動を行った。
当該地域の資料としては、群馬県高崎市の矢口丹波記念文庫資料から、鳳朗の添削の様を明らかにし論文として発表するとともに、同文庫所蔵の『矢口丹波正日記』の解読を引き続き行った。また、前橋市の松井家旧蔵文書(群馬県立文書館)における凉袋関係資料から凉袋と素輪の交流について検証し発表。さらに、北関東及び信州と人的交流の深かった越後地方にも目を向けて新潟県立文書館の資料調査を行い、鳳朗の同地の俳人との交流を、具体的な資料から跡づけることができた。同時に地域資料に広く目を向けるために、第2回研究会では、上州に残る碑の資料に詳しい専門家を招いてレクチュアを受けた。
図書館における俳書調査は、天理大学付属図書館綿屋文庫・石川県立図書館月明文庫を中心として行った。これらの文庫のみに所蔵される資料を中心に網羅的に鳳朗の俳諧活動を探り、鶯笠から鳳朗へ改号した時期の確定、晩年の生活を助けた風外・永久といった人物との交流にも目を向けた。永久の書簡は、矢口丹波記念文庫等に10通が残されており、次年度はこれを読み解くことで、晩年の鳳朗と地方俳人との交流の様を明らかにしてゆきたいと考えている。
一茶についても、資料の読み解きや、講演活動を継続的に行い、本年度も基礎的な研究成果を積み重ねることができたと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度調査で収集した資料をもとに29年度はその解読と位置づけを行い、メンバーが各々論文と研究会発表で、二つの報告をすることができた。今年度の新潟県立文書館調査で発見した鳳朗の二条家俳諧に関する資料についても次年度以降に論文発表を考えている。
鳳朗の俳書における俳諧活動の調査も順調かつ精力的に行っているが、活動時期が50年以上にわたっていて資料が膨大であるため、全体像を把握するにはさらなる推進が必要である。

今後の研究の推進方策

本年度は、初年度に予定し延期していた、鳳朗の出生地熊本における調査を行う。鳳朗の伝記や俳諧活動の始点については、不明な点や脚色された伝説的な部分が多く、伝えられている俗名にも疑問があるので困難が予想されるが、できる限りの準備をして行いたい。
第一回研究会は、分担者玉城氏の所蔵する礫亭文庫の豊富な資料を用いて、メンバー以外の大学院生にも声をかけてレクチュアを兼ねて実施する。第二回研究会は、各々の成果の中間発表会として公開して行う予定である。
俳書における鳳朗の活動の調査、『矢口丹波正日記』の解読作業は、本年度も継続して行う。また、矢口丹波記念文庫所蔵の資料から見えてくる鳳朗と地方俳人との関わりについても、論文発表したいと考えている。
また、当初は一茶連句作品の評釈を考えていたが、連句には限定せずに多彩な俳諧活動に目を向けて活動を探ってゆくことにしたい。

次年度使用額が生じた理由

初年度(28年度)に計画をしていた熊本への資料調査を計画変更して30年度としたため、その予算を先送りにする必要が生じた。また、次年度第一回研究会をメンバー以外の大学院生へのレクチュアも兼ねて長野で行うことを計画したので、その予算も必要であると考えた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件)

  • [雑誌論文] 『鹿島詣』考ー仏頂和尚への応答としてー2018

    • 著者名/発表者名
      金田房子
    • 雑誌名

      連歌俳諧研究

      巻: 134 ページ: 15ー24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鳳朗の添削ー矢口丹波記念文庫資料からー2017

    • 著者名/発表者名
      金田房子
    • 雑誌名

      俳文学報 会報大阪俳文学研究会

      巻: 51 ページ: 41ー47

    • 査読あり
  • [学会発表] 松井家旧蔵文書から見る凉袋と素輪2017

    • 著者名/発表者名
      紅林健志
    • 学会等名
      俳文学会東京研究例会
  • [学会発表] 戦場からの手紙―真田丸余興2017

    • 著者名/発表者名
      玉城司
    • 学会等名
      富山市民講座開校式
    • 招待講演
  • [学会発表] 一茶と同時代の俳人2017

    • 著者名/発表者名
      玉城司
    • 学会等名
      長野市長沼公民館
    • 招待講演
  • [学会発表] 一茶の俳文を読む2017

    • 著者名/発表者名
      玉城司
    • 学会等名
      長野市立図書館
    • 招待講演
  • [学会発表] 知られざる川中島の名句2017

    • 著者名/発表者名
      玉城司
    • 学会等名
      長野市川中島公民館
    • 招待講演
  • [学会発表] 蕪村老いらくの恋2017

    • 著者名/発表者名
      玉城司
    • 学会等名
      第7回俳誌協会授賞式記念講演
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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