研究課題/領域番号 |
16K02435
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
大石 房子 (金田房子) 清泉女子大学, 付置研究所, 客員所員 (80746462)
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研究分担者 |
玉城 司 清泉女子大学, 付置研究所, 客員所員 (20410441)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 鳳朗(鶯笠・対竹) / 一茶 / 綾足(凉袋) / 地方俳諧 |
研究実績の概要 |
鳳朗・一茶・綾足(凉袋)という著名俳諧師が地方俳諧に果たした役割をその足取りから探ってきたが、今年度はそれに加えて、鳳朗・一茶の交流にも着目し後期俳諧への流れを促した要因についても検討課題とした。 今年度は第1回研究会(6月22日)で、今後の方針と成果発表の内容について討議。7月29日~30日に、昨年度に引き続き礫亭文庫(長野市)を訪問。若手研究者を交えての資料調査とあわせて、事前にメールでも意見交換をした上で『矢口丹波正日記』を読む会を開催した。その際、同日記の内容に地方演劇について貴重な記述があることを発見、研究協力者時田氏が次年度に発表の予定である。 8月26日~28日に、富山短期大学で大西文庫の貴重な一枚摺コレクションと『花供養』をはじめとする江戸後期俳諧資料を閲覧・調査。鳳朗の活動を追うことができた。併せて富山県立図書館の俳書も閲覧した。 鳳朗・一茶の交流は、分担者玉城氏所蔵の鶯笠(鳳朗)宛一茶書簡と鶯笠著・一茶校『芭蕉葉ぶね』の検討によって行った。柿衞文庫本等の調査から同書刊行の複雑な経緯と両者の密接な交流を知ることができ、成果を玉城・金田共著の論考として発表した。また、金田は昨年度の熊本調査を踏まえて若き日の鳳朗についての論考を発表した。 本年度の第2回目(第8回)研究会(2月1日開催)は、視野を広げ国際的な見地から当該課題をとらえるため、韓国の研究者を招いて、時調(短詩型文学として共通点を持つ)の作者層について講演していただいた。これは公開して開催し活発な意見交換が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鳳朗・一茶・綾足について、新出資料の検討・足跡の調査によって活動が明らかになるとともに、時代相についても視野が開かれてきた。鳳朗の句集の精読によって幕末の俳壇の嗜好が見えてきたので、こうした俳風を促した時代の動きについて、地方の具体例からさらに追求してゆきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度となるので、これまでの研究成果のまとめと発信に活動を集約する。研究成果は、関連する分野の研究者にも寄稿を依頼し、論集として刊行する計画を進めている(予定:新典社・3月31日刊)。このための執筆・編集が主な作業となる。集まって研究会を開くことは難しいと考えられるので、メールなどで密に連絡を取りつつ推進してゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度成果報告の出版費用として、前年度より繰り越してきたため。
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