昨年度末に、本科研課題の中核的な成果報告として論集『鳳朗と一茶、その時代-近世後期俳諧と地域文化-』(新典社選書100)を刊行した。延長した今年度は、昨年度行うことのできなかった俳書の閲覧・調査の継続を予定していたが、今年度もコロナ感染の拡大で自粛せざるを得ず、主にSkype・メールに拠って、デジタル資料や共有した画像を対象とした活動を行った。 第一回研究会を5月24日10時30分~12時にSkype上で行った。本年度の活動方針の決定を主な議題とし、「礫亭文庫所蔵書簡の解読を通して、江戸後期職業俳諧師の活動の実態を具体的に明らかにする」こととした。この方針に基づいて、各自担当分の翻字をした後、メールで何度も意見交換を繰り返しながら難読箇所や内容の検討を続け、江戸後期の著名な俳諧師達が越後魚沼の二川に宛てた書簡の解読を行った。この成果は考証を付して『近世文芸 研究と評論』誌上において順次報告。1回目は第百一号に8月末投稿。2回目は第百二号に3月末投稿した。今後も継続の予定である。これらの資料から、地方俳人への中央の宗匠の関わりが、俳諧の指導にとどまらず、俳書出版の代行や有名絵師の画の斡旋にも及んだことを具体的に知り得た。 また、以下の活動を行った。 12月9日 長野県立図書館蔵威徳院文庫俳書の閲覧・撮影。 1月17日 10時15分~12時 第二回研究会 於Skype 議題:書簡内容の問題点の検討と今後の研究方針について。
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