研究実績の概要 |
平成28年4月から9月までは、英国・ウェールズのスウォンジー大学Richard Burton Centre Fellowとして在籍し、本研究課題についての研究を進めた。同大学のRaymond Williams Archiveでの資料調査を行うほか、4月にはウェールズ英語文学学会(the Association for Welsh Writing in English)の年次大会に参加し、Raymond Williamsの小説作品Loyaltiesをめぐる研究を口頭発表した。Raymond Williams Archiveでは、ウェールズ出身、イギリスの著述家であるレイモンド・ウィリアムの、とりわけCulture and Societyに関連する資料を調査し、本書に収録されなかった章の草稿などを検討することができた。また、同期間中には、ウェールズの産業文学小説家であるLewis Jonesについての研究を進め、これは平成29年または30年にケンブリッジ大学出版局から出版されるイギリス文学史の一章となる予定である。 平成28年9月に帰国した後には、Lewis Jones研究を継続しつつ、1930年代ウェールズ文学についての研究を継続した。この期間に特に研究したのは、How Green Was My Valleyの作者として有名なRichard Llewellyn、ウェールズ語作家のKate Robertsである。同時に、ウェールズ文学における短編の研究も進めた。Gwyn Thomas, Caradoc Evans, Alun Lewis, Margiad Evans, Dorothy Edwards, B. L. Coombs, Rhys Daviesなどの短編の研究に着手した。 全体として、これまで日本ではほとんど研究の進んでいないウェールズ文学について、部分的ではあれある程度の深い研究が遂行できたと言える。
|