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2018 年度 実施状況報告書

初期近代英国演劇における「合作」に関する研究――印象批評とコンピューター解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K02452
研究機関九州大学

研究代表者

太田 一昭  九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (10123803)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードRizvi / 連語データベース / 解析プログラム / 統計学的作者同定 / 計量文体論 / New Oxford Shakespeare / Arden of Faversham / Henry VI
研究実績の概要

2017年10月、Pervez Rizviは、初期近代英国演劇527編の作品間連語一致(collocation and n-gram match)データベースをウェブ上に公開した。さらに2018年5月、近接単語列一致の増補データと、1単語(1-gram)から連続10単語列(10-gram)までの全ての単語あるいは単語列と機能語スキップ単語列(function word skip n-gram)の一致データを公開した。これらのデータベースには、各戯曲のデータを集約したファイル(summary)とそのデータを解析するための作者同定検証プログラム(attribution tester)が付せられている。Rizvi の構築したデータベースは、初期近代英国演劇作者同定研究における過去最大の資料である。2018年度は、Rizviの巨大なデータベースを検証し、それが初期近代英国演劇の作者同定研究において非常に有用なツールになりえることを明らかにした。
Rizviのデータベースの検証と並行して、New Oxford Shakespeare (NOS)全集(2017)の編者および共同研究者たちの統計学的な作者同定の手法を調査した。調査対象としたのは主として、同全集のAuthorship Companionに解説されているArden of Faversham、Henry VIの作者判定のプロセスと解析結果である。同全集の編者・共同研究者たちは両劇をシェイクスピアの共作劇と判定し、大胆な作者区分を提示している。彼らが作者区分の論拠としているのは、コンピューターを用いた計量文体学的解析結果であるが、その統計解析には恣意的なデータ処理が散見する。2018年は、NOSの作者同定解析の問題点を明らかにするために関連の資料を精査・収集した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Rizviの連語データベースの検証は、当初の計画にはなかったものである。その検証のために当初の研究計画の変更が生じたが、全体として、本研究は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

2019年度末までに、Rizviのデータベースの全貌を把握し、作者同定研究におけるその効用と課題を明らかにしたい。併せて、Arden of Faversham、Henry VIその他の戯曲の統計学的作者解析を再検証し、New Oxford Shakespeare (2017)の編集プロセスに代表される、近年のコンピューターによる統計学的作者同定解析の功過を総括する。

次年度使用額が生じた理由

本研究課題による研究期間を2019年度末まで1年間延長した。2019年度中に研究会あるいは学会で成果を発表する予定であるが、2018年度の未使用残額を、その旅費等に充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Pervez Rizviの初期近代英国演劇連語データベース2019

    • 著者名/発表者名
      太田一昭
    • 雑誌名

      言語文化論究

      巻: 42 ページ: 17-38

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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