研究課題/領域番号 |
16K02453
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大島 久雄 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80203769)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シェイクスピア / 視覚的受容 / インターテクスチュアリティ / シェイクスピア崇拝 / ラファエロ前派 / シェイクスピア絵画 / 諷刺画 / ヴィクトリア朝 |
研究実績の概要 |
本来は最終年度であったためにヴィクトリア朝シェイクスピア視覚的受容に関する文献・画像資料を収集するために国外研究機関における調査を行う予定であった。しかし新型コロナ感染拡大のために国外研究機関における調査が困難となり、国内での調査を行うこととし、国会図書館などにおいてラファエロ前派絵画・パンチ誌諷刺画等によるシェイクスピア視覚的受容に関する資料収集を行い、シェイクスピア絵画や諷刺画、挿絵入り全集等がヴィクトリア朝のシェイクスピア視覚的受容に大きく貢献し、それが名優の舞台演技ともあいまって、シェイクスピア登場人物への関心を高め、性格批評の誕生につながることを明らかにした。 研究成果の発表に関しては、日本にも影響を及ぼしたヴィクトリア朝シェイクスピア視覚的受容の事例研究としてエレン・テリーと貞奴を取り上げ、オフィーリアという役の女優形成への作用を明らかにし、本事例研究は、シンガポールで開催された 2020 Seoul Asian Shakespeare Association Conference において遠隔発表した。この研究は、論文化し、国際学会研究発表選集として韓国シェイクスピア学会が刊行する予定の "Shakespeare Review" に投稿する。 シェイクスピア受容インターテクスチュアリティ研究の成果を広く伝えるために座長として他三人のシェイクスピア研究者とともに日本英文学会九州支部大会においてシンポジウム「演劇とインターテクスチュアリティ~シェイクスピア・地図・予言・ジェンダー・歴史書~」を企画し、受理された。オクスフォード大学が実施したホリンシェッド・プロジェクトを調査し、シェイクスピアとホリンシェッド年代記のインターテクスチュアリティについて研究し、昨年の学会で開催予定であったが、新型コロナ感染拡大のため延期となり、今年秋に開催が確定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大のため海外研究期間での調査が行えず、学会で開催予定のシンポジウムが1年延期となるなど、研究発表の機会が少なく、最終年度としての総合的・総括的な研究の体系化が遅れて、論文発表の体制が整わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もコロナ感染拡大が続いているので、国際学会は遠隔で参加し、国外ではなく、国内研究機関での調査に切り替えて、今年度でプロジェクト研究を完成させ、論文・報告書として研究成果を発表していく。 上記のヴィクトリア朝シェイクスピア視覚的受容の事例研究を完成させて、韓国シェイクスピア学会が刊行する "Shakespeare Review" に投稿する。 シンガポールで開催予定のシェイクスピア国際学会に参加し、関連のセミナーにおいて本プロジェクト関連研究成果を発表し、国際的なシェイクスピア研究者による意見交換の中で得られた知見を基に論文化して関連学会誌・専門書に投稿する。すでにセミナー参加と論文の提出は認められていて、『リア王』の視覚的受容に関する論文作成を進めている。 受容研究の理論的側面としてインターテクスチュアリティ批評を体系化するために日本英文学会九州支部大会において今年度開催するシンポジウム「演劇とインターテクスチュアリティ~シェイクスピア・地図・予言・ジェンダー・歴史書~」において座長を務め、関連分野の研究者と意見交換をしながらインターテクスチュアリティ受容研究の方法論を具体化し、異なる視点からのインターテクスチュアリティ研究の可能性を探る。シンポジウムの成果は本プロジェクト研究にも反映させながら、論文として成果を発表し、ヴィクトリア朝シェイクスピア視覚的受容研究の総括ととして報告書を作成・公開し、関連研究機関・研究者に配布する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大のために海外で開催される学会が遠隔となり、また計画していた海外での関連研究期間での調査を実施できなくなったために、海外渡航費が計画していた通りに使用できなかった。また予定していたシンポジウムなども今年度に延期になったので、研究発表の機会がなく、研究も十分に進めることが出来なかったので、本プロジェクトの一年延長を申請した。今年度に関してもコロナ感染拡大が続いているので、国際学会は遠隔で参加し、国外ではなく、国内研究機関での調査に切り替えて、本研究の完成を目指す。論文は国際的な学会誌にも投稿を予定しているので校閲費が必要であり、シンポジウムの成果なども取り入れた報告書の作成も計画している。
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