研究実績の概要 |
2年目に当たる平成29年度は、Jane AustenのPride and Prejudice (1813)とMansfield Park (1814) の読み直しを中心に進めた。Austen没後200周年に当たる年度であったことから、数々の参考文献や資料が公刊され、それらを把握することで、現代も続行するAustenの作品の正典化の検証も行った。
Pride and PrejudiceとMansfield Parkの読み直しは、昨年度のNorthanger AbbeyとSense and Sensibilityの読み直しに引き続き、ヒロインの視線に潜むリアリズムとロマンスの作用を重点的に分析しながら展開した。同時代に「ケルト辺境」から発信されたMaria EdgeworthのThe Absentee (1809), Patronage (1814), Sydney OwensonのO'Donnel (1814)等と比較を行ったが、特に、西インド諸島の農園を舞台にしたEdgeworthの 'The Grateful Negro' (1809)を重点的に扱った。英米の奴隷表象に関する研究の動向も確認しながら、西インド諸島の農園の奴隷に注がれるコロニアルな視線とその順応化を分析した。
成果の一部を、平成30年度7月に開催される国際学会の研究発表用にまとめて投稿し、発表が確定している。また、平成30年度11月に開催される国際学会のシンポジウムへも招待され、準備を開始した。
|