研究課題/領域番号 |
16K02462
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
唐澤 一友 駒澤大学, 文学部, 教授 (00347288)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 古英詩 / 格言詩 / アングロ・サクソン学 |
研究実績の概要 |
研究初年度の本年度は、主に申請書類の「研究目的」欄の②c)およびd)に記した課題に取り組むことを目標としていた。c)の課題については、Maxims IIと関連の深いMenologiumの言語について、既にある程度行ってきていた研究を引き続き行い、その成果を論文としてまとめるとしていた。これについては、"Lexical Choice and Poetic Freedom in the Old English Menologium" Journal of English and Germanic Philology 115.3 (2016)として予定通り論文を出版することが出来た。 また、d)については、Maxims I, IIの実際のテクストの内容を精査し、同時代の他の文学作品に述べられたことと比較しながら、特筆すべき点をリストアップする作業を行った。これは本研究で最終的に作成しようとしているエディションの一部を成すことになる両作品に対する解説および注釈を執筆する際に必要不可欠な情報を集めるための作業であり、当初から初年度だけで終えることは困難と思われるとしていた課題で、次年度以降も引き続き行う予定である。 さらには、エディションの基礎となるテクストを作成する必要があることから、英国、ロンドンの大英図書館において写本の実地調査を行い、それに基づきMaxims IIのdiplomatic editionを作成することを目標としていたが、これについても予定通りの作業を行った。 この他、オクスフォード大学のBodleian Library等で関連写本の調査や資料収集をしたり、同大学の専門家と本研究に関わる問題を議論したりながら、今後の研究に最新の研究動向を活かせるようにする予定であったが、これらの作業についても概ね予定通りに行うことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」の欄に示したように、当初目的としていた論文の執筆、データのリストアップ、写本の実地調査、diplomatic editionの作成、英国の図書館における資料収集、英国の専門家との意見交換等、初年度に予定していたことは全て行うことが出来ており、したがって、本研究はこれまでのところおおむね順調に進展していると言うことが出来る。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、前年度より引き続き、データのリストアップの作業を続けて行うとともに、Maxims Iの diplomatic editionの作成を行う。また、その作業の中で発見された、これらの作品における言語上あるいは解釈上の細かな問題点の一つ一つについて精査し、これらについての自分なりの解決を導くことが出来るよう努力する。また、Maxims IおよびMaxims IIに共通してみられる、古英語の格言文学に特徴的な言葉遣いについての研究も両者を比較しながら行う予定である。これらはいずれも、本研究の最終的な目標であるこれら両作品のエディションに付属するテクストに対する注解および解説の中で重要な位置を占めるものであり、これを出来るだけ充実させるべく今後の研究を進めたい。diplomatic edition作成のための写本の実地調査、および英国での資料収集、専門家との意見交換も引き続き行うことで、より充実した研究をすることが出来るようにする予定である。
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