研究課題/領域番号 |
16K02463
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
南 隆太 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (60247575)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シェイクスピア / ポピュラーカルチャー / アニメ |
研究実績の概要 |
本研究は、インターネットの普及に伴うファン・カルチャーの発展が、文学テクストの変容と鑑賞・消費の在り方自体を大きく変えつつあることを、シェイクスピアをはじめとする英文学の代表的文学作品を具体例として検証するものである。文学作品がmedia platforms を超えて翻訳・翻案される「メディア間翻訳・翻案」(intermedial translation/transmedial adaptation)によりできた作品について、それらの作品の創造と消費に、デジタル・アーカイブだけでなくインターネット上の情報サイトやファン・コミュニティ(digital fandom)がどのように関わっており、また新しい発表の場としてもdigital media platforms がメディア間翻訳にどのような影響を与えているのかを考察することを通して、新しい文学作品の創作と消費の在り方を明らかにするものである。 2018年度は、アニメとゲームにかかわる研究を中心に進めてきた。特に最近の日本のゲームやアニメなどいわゆる「メディアミックス」の作品の中で「シェイクスピア」がどのように流用されているのかを utilise という言葉を使って検討した。その成果は、2019年秋にアメリカのPalgrave社から出版される予定のShakespeare handbookに掲載されることが決まっている。また、マニラでの第3回アジアシェイクスピア学会での発表に合わせて、フィリピン大学でもアニメとシェイクスピアについて講演を行った際には、フィリピン大学の学生をはじめ日常的に日本のアニメやゲームに関心のある若者を対象に、現地におけるシェイクスピアの流用と消費についても聞き取り調査を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外および国内の研究協力者との連携が進んでいるほか、海外での講演会および英語圏の出版社から出版をするなど、研究成果の公表も着実に行っている。関連資料も十分に収集ができており、最終年度の海外での成果発表の準備も順調に進んでいる。 特にフィリピンとアメリカの研究協力者との連携を一層進められるように、研究課題やテーマのすり合わせを進めているところである。 また、創作にかかわる研究協力者との連携に基づく成果の発表の可能性についても、準備を進めているが。試験的な公表を9月の国際学会できるよう調整を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクト最終年にあたる2019年度は、研究成果の公表を着実に行うとともに、これまでの研究協力者との協力関係の強化と成果公表に向けた準備を進める。 具体的には、9月にはイギリスのティーサイド大学の主任講師であるRonan Paterson氏とイギリスで国際会議を開催し、英米を中心にアジアを含めた研究者と実践創作者に対して本研究成果を発表する予定である。また、そこでの成果を基にした研究論文集をイギリスの出版社より出版する予定である。 シェイクスピアなど文学作品を流用・応用したアニメ、マンガ、ゲームの製作者との連携も深め、メディアを使って再創造をする側の視点からの研究を、David Gauntlettなどメディア研究の立場から検討することが可能かについて検討を進めつつある。 また最終的な研究成果の一部は2020年に韓国で開催される第4回ASA(アジアシェイクスピア学会)、21年度にシンガポールで開催される世界シェイクスピア会議でも発表をする予定で準備を進めている。
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