研究課題/領域番号 |
16K02465
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
松永 典子 帝京大学, 理工学部, 講師 (00579807)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フェミニズム / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本課題の主たる目的は、20世紀半ばのフェミニズムの政治的社会的文化的な変容の過程を、ナショナルかつグローバルな文脈におくとともに、また、系譜的に捉えることによって、その批評的可能性を明らかにすることにある。そのために社会運動における発信方法としての自伝および自伝的手法に注目し、第一波フェミニズムから今日のフェミニズムにいたる女たちの文学を考察する。とくに近年注目される「ポストフェミニズム」をめぐる議論を静的ではなく動的にとらえ、フェミニズム理論研究への寄与の可能性を模索している。 上記のような目的を実現するために、平成29年度においては、作品研究および理論研究を中心として、博士論文の執筆および次年度(平成30年度)の研究発表準備のためにほとんどのエフォートが使われた。具体的には、平成28年11月の日本ギャスケル協会(「ヴェラ・ブリテン『若者の証』における「働く」女の「成長」小説」)および平成29年3月に日本ヴァージニア・ウルフ協会にておこなった口頭発表(「フェミニズム理論/運動における「ポスト」をめぐる考察(Post-ing Feminist Theory/Practice))について、それぞれ然るべき研究者のアドバイスを受けて論文化した。前者についてはモダニズムにおける教養小説とジェンダーの問題について論じた。後者については、博士論文の理論的枠組みを提示する章として執筆された。どちらの論文も、次年度に博士論文の一部として発表する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度初めに立てた研究計画のうち、渡英調査と博士論文の発表を除いてすべて計画通りにおこなうことができた。渡英調査を実施できなかったのは理論研究を中心におこなっていたために、時間的余裕を確保できなかったからである。博士論文発表は、本研究課題申請時点の計画に追加した研究目標である。これを実現できなかったのは年度内のエフォートを越えた計画であったからだと考えている。しかし、論文の執筆は順調におこなっており、次年度に実現する予定である。 他方、理論研究の目処がついたことによって、次年度に国内と国外でそれぞれで研究発表先(2箇所)をすでに確保しているという意味では、予定以上に研究が進んだと言える。 以上の理由によって、全体としてはおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である平成30年度においては、本研究課題の年度の計画に従って実施する。第一に作品分析、第二に理論研究の継続、第三に国内学会への参加、第四に資料収集のため渡英調査の実施、第五に国内外の学会にての研究発表(海外「Women's History Network Conference 2018」;国内「カルチュラル・タイフーン2018」にて発表予定)、第六に論文執筆をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
渡英調査をおこなうことを次年度(平成30年度)に延期したことによって使用額が残った。その残額は、次年度に実施を予定している渡英調査にて使用する。
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