研究課題/領域番号 |
16K02467
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
田中 美保子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30385380)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | テキストの電子データ化 / 「音」に関する記述のコーパス分析 / 「音」に関する記述の文学的分析 / 館と庭の環境調査 / サウンドスケープ調査結果の分析 / Lucy M. Bostonの草稿と書簡の解読 / Lucy M. Bostonの文学世界全体の分析 / Lucy M. Bostonの環境意識の分析 |
研究実績の概要 |
研究の目的と計画にのっとり、Lucy M. Boston の音響感覚と環境意識を考察し、それらが彼女の文学において有する意義を考究するために、研究を進めた。 初年度は、当初計画では、以下の3点それぞれからアプローチする予定であった。すなわち、A. 音楽・音環境に関して、B. 言語・文体に関して、C. テーマに関して、である。これらを念頭に、連携研究者および研究協力者を交えての研究会を行った結果、まず、こうしたアプローチをするための基盤を作り研究メンバーで共有するための基礎作業が必要であることが確認された。したがって、上の3つを、個々に独立したアプローチというよりも、むしろ、観点の柱と捉え、それらが融合した作業と研究活動を行った。上記のために、個々に研究を進めたほか、情報と研究成果を共有する研究会を行った。研究協力者から寄せられた新たな研究成果論文の翻訳や、資料館から取り寄せた資料類の翻訳、(手書き原稿の)清書、解読・分析、研究成果を研究会で発表したり論文として公表するなどを行った。 具体的な進捗状況は、以下のとおりで、おおむね順調である。 A. 音楽・音環境に関して:昨年度までに入手したデータの精査を、連携研究者(鳥越、平松)が進めた。 B. 言語・文体に関して:連携研究者(WIllis)が、「グリーン・ノウ」シリーズのテキスト全文を電子データ化し、それを分析した結果を研究会で確認・共有した。 C. テーマに関して:主要な研究協力者(D.Boston、V.Watson)へのインタビューと、今後の研究打ち合わせを行うとともに、既発表論文の訳出時に見つかった疑問点を明らかにした。また、Lucy Bostonの作品の手書き資料(草稿と往復書簡)を入手し、それを解読するために、タイプアウトによる清書作業を進めた。さらに、研究協力者(菅谷)は学会誌で研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下、A - Cの各観点にのっとって、上記のとおり研究を進めてきており、おおむね順調である。 A. 音楽・音環境に関して、 B. 言語・文体に関して、 C. テーマに関して B. 言語・文体に関して、および、C. テーマに関しては、具体的な成果が発表されたが、A. は、分析結果をまとめる途上であるので、自己評価としては(2)おおむね順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って、今後も、上記のA - Cを柱とした研究を遂行していく予定である。方策としては、とくに、C.テーマに関する部分について、研究を進めたい。 本研究全体のテーマは「Lucy M. Bostonの聴覚的感性と自然環境保護意識」である。それについて、より深く考究するために、文学作品とパッチワーク作品や造形された作品としての庭に表象されたものを解読し分析すること、合わせて、そうしたLucy M. Bostonの感性と意識を育んだものを探るために、D.Boston にインタビューを重ねて伝記的に記述することなどを推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、海外出張にかかる旅費のうち、航空運賃には勤務先の助成金(国際学術交流費)を充てることができたうえ、宿泊先も、研究協力者(インタビュー相手)の自宅に泊めていただきながら行うことができたため、当初予定よりも旅費の支出が抑えられた。 物品に関しては、取材用のビデオカメラや音声・画像処理のソフト類を購入する予定であったものが、研究遂行上の事情で変更になり、次年度以後に持ち越したため、支出しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、海外で、ある程度長期(一ヶ月間)と短期の調査と国際学会での研究成果発表を計画している。航空運賃や宿泊費などの旅費に多くの経費がかかる予定であるので、今年度より持ち越した分をそれに充当する予定である。
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