研究実績の概要 |
本研究は、グローバル経済とシェイクスピア演劇の関係を探求しようとするものである。グローバル交易の時代に、経済の発展は人々の心象に大きな影響を与えた。当時の経済状況の変化を解き明かしながら、様々な交易品がどのように社会に流通し、消費されたのかを解明することによって、人々の物質欲を探求し、それを演劇作品の中にあとづけたい。 シェイクスピアの執筆した、『間違いの喜劇』、『じゃじゃ馬馴らし』、『空騒ぎ』、『トロイラスとクレシダ』、『尺には尺を』、『アテネのタイモン』などを取り上げ、それぞれの作品中に見られるグローバル経済の影響について論じていきたい。 平成30年度は、科研の研究目標に沿って、1本の論文と2本の書評を発表した。(1)「『空騒ぎ』と食のイメージ-1590年代におけるスペイン無敵艦隊の脅威-」「同志社大学英語英文学研究」第100号 pp.1-22. (2)書評 Andras Kisery, Hamlet’s Moment: Drama and Political Knowledge in Early Modern England (Oxford University Press, 2016) Shakespeare Studies, Vol.57, 2019 pp.34-6. (3)書評 David Hawkes, Shakespeare and Economic Theory (Bloomsbury, 2015) 『関西シェイクスピア研究会会報』 第40号 p.6. また、『トロイラスとクレシダ』と『尺には尺を』について、資料収集および論文執筆の準備中である。
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