研究課題/領域番号 |
16K02471
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
勝山 貴之 同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シェイクスピア / 初期近代演劇 / グローバル経済 / 貨幣 / 地図 |
研究実績の概要 |
本研究は、英国における人々の物質文化(Material Culture)への関心と消費動向を探ることにより、シェイクスピア作品の解釈に新たな一面を開拓することを目的とするものである。研究を通して、封建社会の価値観を書き変えようとする商業主義経済の動向を探り、従来は商品とは思われなかったもの、例えば、「土地」、「労働」、「貨幣」などが、市場において売買されるものとなった事実を解明し、更にそれらがシェイクスピア演劇の中でどのように表象されているかを探求する。 封建社会から商業主義社会に移りいくなかで、人々の労働が金銭によって売買されることに着目し、当時の召使の職業倫理を記した資料を収集した。集めた資料をもとに、関西シェイクスピア研究会6月例会(zoom開催)において、「16・17世紀の社会的流動性と『十二夜』」と題する研究発表をおこなった。会員と意見交換し、寄せられた意見を参考に加筆修正した論文「『十二夜』の召使いたちー16・17世紀英国における賃金労働者ー」を『同志社大学英語英文学研究』第103号へ投稿、採択された。(2022年3月に発行) また当時の政府が建前とする重金主義と、それを無視して市中に流通する私鋳貨幣の関係を、劇作品『尺には尺を』の中に探求する調査・研究をおこなった。研究成果は、日本シェイクスピア協会の学術雑誌 Shakespeare Journal Vol.8へ、研究論文「『尺には尺を』と貨幣」として投稿し、こちらも採択、掲載された。(2022年3月に発行) その他、日本英文学会九州支部大会のシンポジウム「ShakespeareとIntertextuality」に参加し、研究発表「John Speedの大英帝国地図とCymbeline」をおこなった。発表要旨は、日本英文学会九州支部大会Proceedingsに収録され、インターネット上に公開されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、コロナ禍による大学の授業のオンライン化に時間を取られ、研究計画に支障をきたしたが、2021年度は研究計画を立て直し、当初の計画に戻りつつある。遅れていた研究発表や論文の執筆・投稿も予定通りおこなえた。 しかし海外渡航は、相変わらず難しく、米国や英国へ渡り、現地での資料収集や海外の学会への参加は果たせていない。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の収束状況を見ながら、計画していた海外渡航を実行に移し、海外での資料収集や国際学会への参加を果たしていくつもりである。またシェイクスピア作品と当時の英国経済の関係をテーマとしたシンポジウムを、10月に甲南大学で開催を予定されている日本シェイクスピア学会でおこなう計画があり、このための準備を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍による大学の授業のオンライン化に時間を取られ、研究計画に支障をきたしたが、2021年度は研究計画を立て直し、当初の計画に戻りつつある。遅れていた研究発表や論文の執筆・投稿も予定通りおこなえた。 しかし海外渡航は、相変わらず難しく、米国や英国へ渡り、現地での資料収集や海外の学会への参加は果たせていない。 今後のコロナ禍の状況を見ながら、政府の海外渡航制限緩和なども勘案しつつ、海外での研究計画を立て直していきたい。
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