研究課題/領域番号 |
16K02486
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大藪 加奈 金沢大学, 国際基幹教育院, 教授 (30283146)
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研究分担者 |
大藪 千穂 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10262742)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アーミッシュ / 児童文学 |
研究実績の概要 |
この研究は、現代社会における宗教と児童文学の関係を、作品とその受容者に焦点を当てて考察するものであり、主要対象作品は、北米のアーミッシュ・コミュニティーを題材とした児童文学である。アーミッシュの子供たちが主人公の物語のうち、アーミッシュ・コミュニティー内で受容されている作品と、非アーミッシュ児童に広く普及している作品を比較・分析し、また、それぞれ異なる対象を持つ作品の受容を比べる。これらの研究により、過去20年間に北米で出版数が飛躍的に伸びている一般児童向けアーミッシュ題材児童文学の実態を明らかにし、21世紀の児童対象作品において、宗教コミュニティーの登場人物が世俗的な児童文学マーケットに浸透している理由を探ろうとしている。 今年度は、アーミッシュ題材の作品が作り上げるアーミッシュイメージや、アーミッシュ題材の作品受容について調査したが、アーミッシュ題材の作品を取り巻く状況は、ここ数年の間に大きく変わっていることが明らかになった。ドラマやリアリティーショウ、「ドキュメンタリー」という形で、極端に伝統と乖離したアーミッシュの若者たちの表象がテレビやインターネットにあふれ、何がフェイクで何が本当かわからない、というアメリカ社会の風潮がアーミッシュ題材の作品にも影響している。受容者が「正真正銘」のアーミッシュの生活描写を作品に求める一方で、スマートフォンを持ったアーミッシュ家庭に育ったとされる若者が「フェイクアーミッシュ」表象を地でいく写真や言説を投稿し、20世紀に作られたのどかな田園生活やアメリカの理想としてのアーミッシュのイメージは、複雑化した。この研究成果については、国際児童文学学会で発表し、フロアとのディスカッションをとおして、更なる研究内容の深化につなげた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きな遅れはなく受容研究が進んでいるため。
ただ、29年度、カナダにあるアーミッシュ図書館を訪ね、受容研究を進める予定であったが、丁度滞在予定であった29年度夏に、アーミッシュ図書館がエリザベスタウン・カレッジに移される事になり、閉館していたので、その部分の研究ができていないこと、また、Youth Studeiesの手法を取り入れるための研究がまだ十分ではないため、計画以上の進展とは言い難い。
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今後の研究の推進方策 |
国際児童文学学会での発表やフロアとのディスカッションをとおして、児童文学研究がYouth Studiesの一部として、ますます学際的になっていることを実感した。本研究ではインターネット上の言説や作品と受容研究を統合的に行おうとしているが、より学際的な視点を組み込んだ研究方法が必要となっている。受容研究については、ネット上の言説やReligious Studyの分野だけでなく、Youth Studiesの理論を使い、作品とそれを取り巻く現代社会の関係により肉薄する研究としたい。
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