研究成果の学術的意義は、これまでほとんどお互いから断絶していたパーマー作品の研究とアンチ・エレジーの研究の間に連関するテーマを見出し、分析を行った点にある。その結果、エレジーとアンチ・エレジーの競合を示すパーマー作品が、現代社会において過小評価されがちな「言語」の真価を読者に指し示す機能を持っていることが判明した。これはまずアカデミズムにおけるアメリカ文学研究の成果であるが、それと同時にアカデミズムのの外部にとっても有益な社会的意義を有する。なぜならばそれは、パラドックスを通じて「言語」の実相に迫る試みが、詩の読者各々によって実践可能であることも証明したからである。
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