研究課題
基盤研究(C)
本研究は、19世紀中葉のアンテベラム期に次々と発表された奴隷制を巡る言説を一つの文学ジャンルとして捉え、それが「もう一つのアメリカン・ルネサンス」を形成した可能性を探ったものであるが、本研究を通して反奴隷制文学がこの時代のみならず、独立革命後からアメリカン・ルネサンス期を経て、南北戦争後には「自由と隷属」という普遍的なテーマに形を変えて、現代文学の「主流」へと受け継がれた系譜が確認された。
19世紀アメリカ文学
これまで部分的にしか研究がなされていなかった奴隷制反対の様々な言説を、「反奴隷制文学」という一つの文学ジャンルとして捉えたことで、文学としての意義を付与できたこと、また、その「反奴隷制文学」が当時の政治のみと結びついた一過性の現象ではなく、「自由と隷属」という普遍的なテーマに形を変えて、現代文学に受け継がれていることを明らかにできた意味は大きい。