研究課題/領域番号 |
16K02509
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
岩瀬 由佳 東洋大学, 社会学部, 准教授 (60595411)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カリブ海地域の文学 / ジェンダー研究 / コロニアリズム・ポストコロニアリズム |
研究実績の概要 |
まず、2016年7月6日にイギリスのNewcastle Universityにおいて開催された第40回The Society for Caribbean Studiesで学会発表を行う機会を得た。スペインの研究者とジャマイカ出身の研究者とともにA Caribbean Spin on Shakespeareというタイトルでパネルを組み、冒頭に日本の伝統芸能である現代歌舞伎や能、狂言とShakespeareの戯曲のコラボレーションが生み出す新たな創造性について述べたのちに、イギリスによる植民地支配という歴史的背景からカリブ系作家との複雑な関係性を指摘し、旧宗主国の文化的権威の象徴であるShakespeare作品を書き換える試み、本発表ではトリニダード出身のアフリカ系女性作家Elizabeth Nunezの作品をもとに女性の「語り」による家父長的植民地主義に対する文学的異議申し立ての手法について論じた。その中では、カリブ海地域のVictorianismの影響に関しても言及した。 また、2017年2月21日から25日にかけてThe British LibraryのThe Reading Roomsにおいて主に旧イギリス植民地ジャマイカ人作家で、ジャーナリストでもあったHerbert G. De Lisserの著述作品に関して資料収集、分析作業を行った。20世紀初頭イギリス植民地で出版された初版本を実際に手にすることができ、再販本との章立ての違いなども明らかになった。大きな収穫としては、De Lisserが執筆した初等教育用のジャマイカに関する地理と歴史に関する書籍をみることができ、植民地社会で非常に大きな政治的、社会的影響力をもっていた彼の植民地主義への加担ぶりがこの資料により明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、Hearbert G. De Lisser、Erna Brodber、Louise Bennettらに焦点を当て、研究を進めてきたが、Elizabeth Nunez、Pauline Melvilleなどの作家に関しても波及的に研究が及んでいることから、引き続き両者も研究対象としたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、文献収集、分析作業を行うことにより、研究を深め、学会発表、論文発表を積極的に行っていくことで他研究者との意見交換の機会を得たいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年2月20日から2月26日までのロンドンへの海外出張の際に航空券代、日当、宿泊費を支出する予定であったが、平成28年度予算だけでは足りなかったため、宿泊費(80,000円)を平成29年度予算から支出し、28年度予算の残額分を29年度の予算に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度予算の残額分(17578円)を平成29年度に繰り越し、国内学会等の出張費用に使用予定である。
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