研究課題/領域番号 |
16K02513
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
河原崎 やす子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (80341808)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アジア系アメリカ文学 / 戦争の記憶 / 日本の植民統治 / 世界文学 |
研究実績の概要 |
本研究は、アジア系アメリカ文学における日本の侵略統治の表象を歴史記憶の観点から分析考察するものであり、戦争の記憶と表象に主眼点を置いて研究を進めている。 4年目は、アメリカ文学における斬新な思考として注目される「世界文学」の観点を取り入れ、考察対象をアジア系アメリカ文学から英語で表現された世界文学へと広げた。これは当初考えていた対象を変更することであり、対象となる作品はアジア文学全体に広がる。したがってこれまで触れなかった日本植民の被害を被ったアジアの国々の文学を取り上げることになる。ただし英語という言語設定があるために、英語が公的に使用されている国に限定される。 その中で、マレーシアは日本植民としてはあまり知られていない被害国であり、まずここに焦点を当てた。マレーシアではじめて日本植民をテーマとした文学作品に注目し詳細に分析した。作品は一方的な非難ではなく、歴史事実を記憶することが主眼点であり、それはこれまでのフィリピン等の近年の傾向に通ずる。こうした近年の傾向の意味を探りつつ、日本に対する厳しい視線も醸造しているアジアの国の文学の在り方をこれから辿りたいと考える。 そこで今後もこの路線を継続して、より多くのアジアの英語文学を取り上げ、歴史記憶が世代を越えて受け継がれしかもグローバルに展開されること意味と意義を検証し、日本人としてそれに対してどう対処すべきか、期間を延長して研究を継続することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
路線を変更したために、多くの文献を収集し分析する時間が必要となった。また、家族の介護が加わり、研究に割ける時間を見出すことが難しい状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
延長した年度に出来るだけ多くのアジア文学に触れるとともに、原点に立ち返り、アジア系アメリカ文学の近作をも取り上げて、戦争の記憶と表象というテーマを深めたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度まで思いがけない事態に見舞われ、研究が遂行できず予定通りにならなかったため次年度使用額が生じた。 次年度は可能ならば米国とアジアの2か所に現地訪問をする予定である。ただそれが難しい場合は、機器を整備し現地の大学および研究所、研究者などと連携を取りつつ研究を進めたい。その場合には移動可能なノートパソコンなどの購入を予定している。
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