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2017 年度 実施状況報告書

フィッツジェラルド文学から読み解く人種と結婚のポリティクス

研究課題

研究課題/領域番号 16K02521
研究機関福岡大学

研究代表者

高橋 美知子  福岡大学, 人文学部, 准教授 (90389388)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードスコット・フィッツジェラルド / ゼルダ・フィッツジェラルド / 婚姻制度 / モダニズム
研究実績の概要

平成29年度は、スコット・フィッツジェラルドの妻であるゼルダ・フィッツジェラルドを対象として研究を進めた。スコットの作品に私生活の影響が色濃いことを考えれば、彼の作品で描かれる結婚制度を分析する上で、妻ゼルダの存在を無視することはできない。スコットの伝記でも必ず語られるように、ゼルダ自身の作家活動は、フィッツジェラルド家に大きな波乱を引き起こした。二人の結婚生活を論じるとき、両者の作家としての自我のぶつかり合いを避けて通ることはできない。
ゼルダが発表した複数の作品は、これまで十分な研究の対象とされてきたとは言えない。ともすれば夫の作品との比較という枠組みの中で語られがちな彼女の作品を、ひとりの独立した作家のそれとして論じることの重要性を認識し、ゼルダ・フィッツジェラルドの作品研究に着手した。成果としては、平成29年7月に、日本F.スコット・フィッツジェラルド協会全国大会でシンポジウム「ゼルダ・フィッツジェラルドとその作品」のチェアおよび講師を務めた。個人発表のタイトルは「ハッピー・エンドの向こうに-ゼルダ・フィッツジェラルドの短編を読む」である。また、論文「ゼルダ・フィッツジェラルドの決定不可能なテクスト―『百万長者の娘』のモダニズム性―」がミネルヴァ書房より近日刊行予定の『アメリカン・モダニズムと大衆文学―時代の欲望/表象をとらえた作家たち』に収録されることになっている。ともに国内外でこれまでほとんど研究対象にされることのなかったゼルダの短編を扱った研究となっている。
また、スコット・フィッツジェラルド研究としては、9月に行われた福岡アメリカ小説研究会において、「ウィルソン夫妻と灰の谷―都市と郊外の狭間を読む」のタイトルで口頭発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画になかったゼルダ・フィッツジェラルドの作品研究を射程に入れたことにより、申請時の構想とはやや異なった形で研究を進めた一年となった。しかし、「研究実績の概要」に述べたとおり、スコット・フィッツジェラルド作品における結婚制度表象について研究を進める上で、ゼルダの存在は非常に重要であり、スコットの妻であると同時に作家であった彼女についての研究を並行して進めることは、フィッツジェラルド作品を通して婚姻制度と人種をめぐる当時の社会・歴史的状況を探る、という研究目的に必ず寄与するはずである。

今後の研究の推進方策

引き続き、スコットとゼルダの作品研究を進めながら、両者の作品に表象される婚姻制度と人種をめぐる当時の社会・歴史的状況を探っていく。具体的には、平成29年度に口頭発表を行ったゼルダの短編論とスコットのThe Great Gatsby論を論文として完成させ、発表する。その後はゼルダの長編Save Me the Waltz論、および両者の日記や手紙の分析に着手したい。

次年度使用額が生じた理由

家庭の事情等により、当初予定していた国内外での出張回数を減らすこととなったのが主な理由である。翌年度分の助成金と併せ、研究遂行に必要な資料の購入、研究会および学会参加のための交通費、また研究成果の発表等に有効に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ハッピー・エンドの向こうに―ゼルダ・フィッツジェラルドの短編を読む2018

    • 著者名/発表者名
      高橋 美知子
    • 雑誌名

      フィッツジェラルド研究2017

      巻: 1 ページ: 22-31

  • [学会発表] ハッピー・エンドの向こうに―ゼルダ・フィッツジェラルドの短編を読む2017

    • 著者名/発表者名
      高橋 美知子
    • 学会等名
      日本F.スコット・フィッツジェラルド協会2017年度全国大会
  • [学会発表] ウィルソン夫妻と灰の谷―都市と郊外の狭間を読む2017

    • 著者名/発表者名
      高橋 美知子
    • 学会等名
      福岡アメリカ小説研究会

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公開日: 2018-12-17  

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