研究課題/領域番号 |
16K02522
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小宮山 真美子 長野工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (30439509)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ナサニエル・ホーソーン / 慰撫と弔意儀礼 / 埋葬と衛生問題 / ダゲレオタイプの写真術 / カルトグラフィー / 領土拡張主義 / 大西洋横断的視点 / Claimant Narratives |
研究成果の概要 |
本研究は、19世紀アメリカ人作家ナサニエル・ホーソーン(1804-64)の晩年の未完の作品を中心に、墓地を含めた土地空間の所有の問題、および死者の埋葬を中心とした弔意儀礼が持つ意味について考察することを目的とし、分析および検証を行った。土地空間を獲得する行為と死者を埋葬する行為が、共同体の成り立ちとアメリカ国家の記憶に結びついていることから、初期の短編小説も研究対象に加えた。その結果、晩年の作品には祖国イギリスと新大陸アメリカの時空間を横断する課題が色濃く反映されていることが浮き彫りになった。これらの考察を国内外の学会で研究発表を行い、論文にまとめて成果とした。
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自由記述の分野 |
アメリカ文学・文化
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アメリカ国家は、イギリスからの移民がアメリカ人として共同体を築くために獲得した土地、および未来に繋ぐための地所を子孫が相続することで、その土地空間を広げてきた。その言説の下支えとなったのが、死者の埋葬の儀式を含む追悼の社会システムである。ホーソーンのテクストをひとつの証言として歴史的パースペクティヴに置き、初期作品から晩年の未完の作品を、私的な物語空間から公的な記憶空間へと読み替えた。それらを 21 世紀現在の視点から眺めたときに出現した「繰り返し語る」という特性は、アメリカの民主主義像に対する再考と理解の深化に寄与するという点で、学術的・社会的にも重要な意義を持つと考える。
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