研究課題/領域番号 |
16K02524
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹内 修一 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (40345244)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルロー / 集合的記憶 / コメモラシオン / 記念 |
研究実績の概要 |
フランス第五共和国成立以降、ドゴール大統領は、国民同士が殺し合ったアルジェリア戦争を忘却させ、第二次大戦中のドイツに対する抵抗にこそ共和国国民の起源はあるのだというレジスタンス神話によって、国民の記憶を形成しようとした。そのさい重要な役割を果たしたのが、初代文化大臣をつとめた作家アンドレ・マルローである。本研究は、彼が企画・実施したセレモニーや演説、発言等を調査して、現在のフランス国民の集合的記憶の形成に、マルローがどのような役割を果たしたのかを見極めようとするものである。 研究初年度である2016年度は、マルローが関わった「文化」政策に関する文献、近年非常に活発になってきているメモリー・スタディーズの研究書などの収集した。8月には、フランス国立図書館やジャック・ドゥーセ図書館で、資料調査を行った。前者では、マルローが行ったスピーチや演説が当時の雑誌や新聞でどのように報道されたのかを調べた。後者においては、アンドレ・マルローの遺族の許可を得て、「ジャン・ムーランのパンテオン移葬」のタイプ原稿を閲覧した。 2016年12月22日には、お茶の水女子大学において、「アンドレ・マルローのパンテオン(1964/1996)」という題目で講演を行い、本研究課題の研究成果の一部を発表した。これは、1964年12月19日にドゴール大統領が主催したジャン・ムーランのパンテオン葬(マルローが追悼演説を担当した)と1996年11月23日にシラク大統領が行ったマルローそのひとのパンテオン葬を比較したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において初年度に取り組むことを予定していた、関連資料の収集・分類を行うことができた。また、科研費のおかげで、渡仏してマルローのタイプ原稿のいくつかを閲覧することができたのは幸いであった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、アンドレ・マルローの行った文化政策およびメモリースタディーズに関する資料を収集する。また名古屋大学で開催される今年度の日本フランス語フランス文学会の秋季大会で、他の研究者とともに「パンテオンと作家たち」をめぐるワークショップを開催することを計画している。
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