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2018 年度 実施状況報告書

アンドレ・マルローとフランス国民の記憶

研究課題

研究課題/領域番号 16K02524
研究機関北海道大学

研究代表者

竹内 修一  北海道大学, 文学研究院, 教授 (40345244)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードマルロー / 集合的記憶 / コメモラシオン / パンテオン
研究実績の概要

小説『希望』や『人間の条件』で名高い作家アンドレ・マルローは、第二次世界大戦後、ドゴール将軍と行動をともにし、1958年に将軍が第五共和国大統領に就任すると、初代文化大臣をつとめてフランスの文化行政を指導した。本研究は、彼が企画・実施したセレモニーや演説、発言等 を調査して、現在のフランス国民の集合的記憶の形成に、マルローがどのような役割を果たしたのかを見極めようとするものである。
2018年7月に発表した論文は、対独レジスタンスの指導者ジャン・ムーランの遺灰をフランスの偉人たちの霊廟であるパンテオンに移葬したさいに、マルローが行った演説を分析したものである。第二次大戦中の死者ジャン・ムーランをフランス国民に思い出させることによって、マルローがより近い過去であるアルジェリア戦争を忘却させようとしていることを明らかにした。同じく7月には、アリアンス・フランセーズ札幌に於いて、ドゴール派のシラク大統領によるアレクサンドル・デュマのパンテオン葬について、講演を行った。この講演をもとにする論文を作成し、『仏語仏文学研究』(東京大学)投稿した。論集は3月刊行予定であったが、先方の都合で刊行は7月あたりになるようである。なお、19年3月には、授業のない期間を利用して渡仏し、フランス国立図書館およびレジスタンス解放博物館において、マルローの手書き原稿およびタイプ原稿を調査した。調査の結果は、2019年度に発表したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第五共和国のフランス国民の集合的記憶を創出したと言ってよい、マルローの演説「ジャン・ムーランの遺灰のパンテオンへの移葬」を分析する論文を発表することができた。また、フランスにおいて、マルローの手書き原稿およびタイプ原稿を調査することができた。

今後の研究の推進方策

19年3月にフランスで行った資料調査の成果を、19年度中に発表したい。また、ドゴール派のシラク大統領が行った、マルローその人のパンテオン葬の意義について、論文を作成する。

次年度使用額が生じた理由

夏休み期間にフランスで資料調査をする予定であったが、家族の入院・手術および北海道胆振東部地震のために、断念した。資料調査を3月に延期せざるをえず、航空運賃を含む旅費総額がなかなか確定しなかったために、最終的に残額が生じたものである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 黒い血と青い血──アレクサンドル・デュマのパンテオン葬2020

    • 著者名/発表者名
      竹内修一
    • 雑誌名

      仏語仏文学研究(東京大学仏語仏文学研究会)

      巻: 52 ページ: 197-206

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アンドレ・マルロー 「ジャン・ムーランの遺灰のパンテオンへの移葬」 ─第五共和国のコメモラシオン ─2018

    • 著者名/発表者名
      竹内修一
    • 雑誌名

      北大文学研究科紀要

      巻: 155 ページ: 55-80

    • オープンアクセス
  • [学会発表] フランス共和国は誰を神にするのか? ──アレクサンドル・デュマとパンテオン2018

    • 著者名/発表者名
      竹内修一
    • 学会等名
      アリアンス・フランセーズ札幌「フランス・アラカルト・セミナー」

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公開日: 2019-12-27  

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