研究課題/領域番号 |
16K02527
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺田 寅彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30554456)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ゾラ / フランス人権同盟 / ドレフュス事件 |
研究実績の概要 |
平成30年度には、パリ病院(AP-HP, Assistance Publique, Hopitaux de Paris)資料室やフランス国立図書館に所蔵されている資料や手紙・手稿といった前年度からの継続調査に加えて、近現代テキスト手稿研究所(ITEM, Institut des textes et manuscrits modernes)のゾラ・センターに所属するジャン=セバスティアン・マケ(Jean-Sebastien Macke)氏の研究協力を得て、ゾラの友人の音楽家アルフレッド・ブリュノの調査を進めた。また、「エミール・ゾラの会」の活動拠点のひとつであったメダンの館について、さらに「エミール・ゾラの会」がゾラの故郷エックス・アン・プロヴァンスでどのような活動を行ったかについて、国際シンポジウム「セザンヌとゾラの創造的関係を再考する」(2018年12月2日、京都工芸繊維大学)で「セザンヌとゾラ:記憶の場」と題して発表を行った。なお、「エミール・ゾラの会」とは直接関係はないものの、今回の調査で明らかになった資料を生かして、ゾラと同じく自然主義作家とみなされたギィ・ド・モーパッサンの諸作品について論文を発表した(「モーパッサン短編作品集と写真製版技術の挿絵」マリアンヌ・シモン=及川[編]『テクストとイメージ』所収、2018年、77頁-96頁)。また、Sciences-Po歴史センター(Centre d'histoire de Sciences-Po)に所蔵されていたルイ・ディスパン・ド・フロラン(Louis Dispan de Floran)の資料調査も順調に進み、同時にこのルイ・ディスパン・ド・フロランと人権同盟とのつながりについてさらに調査を行う必要が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の調査は、近現代テキスト手稿研究所(ITEM, Institut des textes et manuscrits modernes)のゾラ・センターに所属するジャン=セバスティアン・マケ(Jean-Sebastien Macke)氏の研究協力もあり、パリ病院(AP-HP, Assistance Publique, Hopitaux de Paris)資料室、フランス国立図書館、Sciences-Po歴史センターで予定通り研究を進めることができた。同時に、ルイ・ディスパン・ド・フロランと人権同盟とのつながり、人権同盟の地方支部(とりわけマルセイユ支部)の活動、ゾラの死後のドレフュス事件の動向について、今後の研究課題があることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
人権同盟の地方支部での活動については、人権同盟が残した会報の精読が必要であり、膨大な資料ではあるが、丁寧な分析を行う。ルイ・ディスパン・ド・フロランとゾラ未亡人アレクサンドリーヌの関係については、ルイ・ディスパン・ド・フロランの居住地区の資料が残存しているかの確認を古文書館などで行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度(平成31年度/令和元年度)にフランス現地での調査の回数を増やすために、次年度使用額をわずかに増やす必要があったため。使用計画は、フランス現地での調査。
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