研究課題/領域番号 |
16K02527
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺田 寅彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30554456)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゾラ / 人権同盟 / ドレフュス事件 |
研究実績の概要 |
本研究は2020年度が予定では最終年度だったが、コロナ禍のために現地調査ができず、いったん2021年度を最終年度とする延長を行った。2021年度には幸い夏にフランス・パリでの現地調査を行い、その成果を国際シンポジウム「19世紀の文学における生気論の諸相」(2021年10月23日、オンライン開催)で、「La vie etait la lumiere des hommes.」として、ゾラを思想家・詩人として紹介した人権同盟の活動にかかわる発表を行った。発表内容は日本フランス語フランス文学会の欧文学術雑誌LITTERAの第7号(2022年3月発行)に同名の論文として掲載された。また、『超域文化科学紀要』第26号(2021年10月31日発行)には、「ゾラと人権同盟--彫像をめぐって」と題する論文を発表することができた。さらに、この現地調査がきっかけで、ドレフュス事件にかかわるフランスにおけるユダヤ問題を取り上げるセミナーを開催することができた。ユダヤ問題の碩学ピエール・ビルンボーム(パリ第一大学教授)、プルースト研究者で近年ではプルーストとユダヤ問題での論考もある村上祐二(京都大学准教授)と寺田寅彦で、「ピエール・ビルンボームと読む『共和国と豚』」と題した本セミナーはオンラインで開催され、主催の自然主義研究会のみならず歴史学、社会学、近現代文学の広い分野からの参加を得ることができた。ただ、いまだ調査が不足していることは否めず、2022年度まで再度本研究を延長することが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍にもかかわらず一度の現地調査を実施することができて、その成果発表をさまざまな形にすることができた。また日仏研究者の参加を得たオンラインセミナーも実施できて、その点でおおむね順調に進展している。ただ、さらなる現地調査は必要であり、2022年度をあらたな最終年度として研究を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度を最終年度とする再延長を行い、コロナ禍のために十分にはできなかった現地調査を進めて、ゾラと人権同盟のつながりの理解をさらに深め、ゾラが単なるドレフュス事件の「英雄」を超えて「聖人」として神格化された理由を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はコロナ禍のために予定通りにはフランス現地での調査ができず、2022年度に再延長で調査を行うために次年度使用額が生じた。最終年度の現地調査で使用する計画を立てている。
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