研究課題/領域番号 |
16K02527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺田 寅彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30554456)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エミール・ゾラ / フランス人権同盟 / ドレフュス事件 |
研究成果の概要 |
19世紀末から20世紀初頭のフランスを揺るがしたドレフュス事件で、文筆家であるエミール・ゾラの告発文「余は糾弾す」が大きな役割を果たしたことは周知の事実である。しかし、人権擁護団体であるフランス人権同盟がゾラの死後に作家の名声を擁護するためにさまざまな活動をしたことは忘れられがちである。さらにはゾラの死後に結成された「エミール・ゾラの友の会」がフランス人権同盟と深い関わるもので、ゾラ歿後の作家の擁護に果たした役割については、ゾラ研究者からもほぼ顧みられることがなかった。本研究はこの欠落を埋める端緒となるものであり、ゾラの別荘であったメダンの館の意味をあらためて問うものである。
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自由記述の分野 |
フランス文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在のフランスでは、エミール・ゾラは19世紀を代表する作家として知られ、中・高等教育で必ず取り上げられる文学者である。しかし20世紀前半ではゾラは必ずしも学術的な研究対象ではなく、ましてや教材になることはなかった。それはゾラと左翼的社会活動との結びつきが強かったためであった。ゾラ作品の受容の転換と、20世紀前半の社会的・文学的な役割を理解するには、ゾラの死後に結成された「エミール・ゾラの友の会」の活動と、フランス人権同盟との結びつき、さらにはゾラの別荘であったメダンの館の役割を知る必要がある。風化しつつある20世紀前半のゾラ理解に光を当てる点で、本研究は学術的・社会的な貢献をなしている。
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