研究課題/領域番号 |
16K02529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 上智大学 (2018) 東京外国語大学 (2016-2017) |
研究代表者 |
博多 かおる 上智大学, 文学部, 教授 (60368446)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 異国性 / 地方性 / 境界 / フランス19世紀文学 / フランス近代芸術 / エグゾティスム |
研究成果の概要 |
フランス近代文学・音楽・芸術にしばしば見られる、地方固有の風習や伝統を探求し、書き留めようという野心と、異質な文化の要素を作品に取り込もうという動きの関係を、具体的な作品分析をもとに明らかにした。 文学についてはバルザック、メリメ、ジョルジュ・サンドらの小説における私生活内部の境界への着目が、イメージの呼応や、夢想をつなぐ仕組みの創造などによって、遠い場所への憧憬としばしば共鳴することを見た。音楽・絵画作品においても、しばしば文学と連携したかたちで、地方性を感じさせる主題が、新しい色彩や音色、作品構造の探求と結びついたこと、外へと開かれていくと同時に細部を見つめる作品を生み出したことを見た。
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自由記述の分野 |
人文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
異国趣味という主題は、19世紀文学と芸術を論じる上でしばしば取り上げられ、近年は、その西洋中心的な思考が批判されてきた。本研究は、作品の精密な読解をもとにこの問題を新しい角度から検討し、内なるものと異なるものの境界が、国家や文化の領域性のみにもとづいてのみ展開されたわけでないことを示した。たとえば、地方性や日常性の内部に存在する境界や亀裂は、遠い場所についての想像としばしば連動している。そうした考察をつうじて、19世紀フランス文学・芸術・社会を読み解く新しい鍵を提案すると同時に、ジャンルと創造者によって異なる作品構築の手法を比較する視点を提出しえたと考えられる。
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