今後の研究の推進方策 |
当初の計画では予定していなかったが,ロマネスク教会における植物の表象に関する調査と考察をさらに深め,古代ギリシアの影響下の様式化したモチーフから,13世紀よりより写実的な植物彫刻への発展の可能性を辿る。 その上で以下の2点に重点をおく。 1. マールによるフランス 12・13 世紀及び中世中期のキリスト教美術研究の草稿メモについて,フランス学士 院図書館での調査をさら に続ける。このメモで言及されている写本,同時代の草稿を,フランス国立図書館やサント・ジュヌヴ ィエーヴ図書館),閲覧し,可能な場合はデジタ ル画像での複写を依頼する。またマールはドイツの写本も研究対象としており,さらにフランス国内にとどまらず ,ギリシアや中近東 の教会建築の彫刻やフレスコ画にも言及している。研究期間中に現地調査が困難な場合は, 文献 の画像やインターネット等で公開のデジタル画像を活用する。 2. 中世建築の研究では修復の問題が避けて通れない。対象とする彫刻の制作・修復時期を特定する必要 がある場合は, 先ずは網羅的に先行研究にあたり,提示された仮説を検証,総括する。
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